ひらがな、カタカナ、漢字の3つの表記を持ち、古くからある言葉を残しながらも上手く外国語を取り入れている日本語は、とてもユニークですよね。

そこで今回の記事では、おもしろい日本語のなかから、泥棒、万引き、猫ババなどの「悪いこと」にまつわる言葉に焦点をあてて、それぞれの由来や語源をご紹介していきたいと思います。


普段何気なく使っている言葉のルーツを知ることで、あなたの毎日がちょっと豊かになるかもしれません。

■なぜ、物を盗むこと・盗む人を「泥棒」と呼ぶのか

江戸時代から使われてた言葉も!泥棒、万引き、猫ババ…悪事にま...の画像はこちら >>


四代目市川小團次の鼠小僧(Wikipediaより)

他人の物を盗むことや、盗む人を「泥棒」と言いますよね。「窃盗犯」や「盗人(ぬすっと)」という言葉もありますが、日常会話でよく使うのはやはり「泥棒」という言葉ではないでしょうか。「泥」も「棒」も一見すると盗むことには何も関係が無さそうに思えますよね。

「泥棒」という言葉の明確な語源ははっきりとしていないものの、いくつかの説があります。たとえば、「押し取り(無理に奪うこと)」と「坊(人を表す)」が組み合わさって「押し取り坊・押収坊(おしとりぼう)」となり、それが変化して「どろぼう」となったという説があります。

また、犯行中に他の人に顔を見られないよう、顔に「泥」を塗り、万が一見つかったときに備えて「棒」を持っていたから、という説もあります。



■江戸時代から「万引き」という言葉が使われていた?

店などから商品を盗む、持ち去ることを万引きと言いますが、実は刑法には「万引き」という言葉はなく、「窃盗」とされています。そんな万引きですが、なんと江戸時代から使われていたと考えられています。

江戸時代後期の雑俳(雑多な形式と内容をもつ遊戯的な俳諧の総称)のひとつに「こりごりしろと万引をぶつ」というものがあります。万引きをつかまえ、二度とやるなといいながらたたいている、という図が浮かぶようですね。

また、歌舞伎狂言作者である河竹黙阿弥の『白波五人男』のなかには「いや、文金高島田のお嬢さんが万引きしようとは気がつかねえ」という台詞もあります。


万引きという言葉ですが、「間引(まび)く」に「ん」が加わってできた説が有力です。

■「猫ババ」の由来はまさかのアレでした

江戸時代から使われてた言葉も!泥棒、万引き、猫ババ…悪事にまつわる言葉の語源はとってもユニーク


悪事を隠すこと、拾ったものなどを自分のものにしてしまうことなどを「猫ババ」といいますが、これは猫のある行動と関係がある言葉でした。

猫は、糞をしたあとに砂をかけて隠す習性があります。これを、悪いことをしたあとに隠して立ち去る様子に重ね合わせ、「猫ババ」という言葉が生まれました。

猫好きのおばあさんが借りたお金を返さなかったから、という説もありますが、前者の方が有力とされています。

いかがでしたか?この記事が、みなさんが少しでも日本文化や歴史の面白さに興味を持つきっかけになれば嬉しいです。

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