いわゆる弥生時代に作られるようになったとされる弥生式土器ですが、今回はその作り方および造形の特徴について解説します。
吉野ヶ里遺跡の土器
弥生土器は、明るい褐色で、薄くて堅いことが特徴です。
形は、壺、甕、鉢、高杯とさまざまですが、簡素な作りであることは共通しており、文様も縄目・刻み目・櫛で書いたものなどさまざまな種類があります。無文様のものも珍しくありません。
これらの特徴から、弥生土器は日常生活で広く使われていたことが推察されると同時に、装飾からも当時の人々の美意識や宗教感覚を読み取ることができます。
こうした特徴をもつ弥生土器の作り方は、次の通りだったと考えられています。
まず良質の粘土を採取して、水を混ぜて練ります。それから棒状の粘土ヒモをつくり、底から上に向かって押しつぶすように重ねながら積み上げていきます。
その際、底部・胴部・頸部・口縁部などと四~五段に分けて積み上げ、全体の形が作られます。
次に模様をつけていきます。
■文様をつけて焼く
粘土ヒモを積み上げて形を作ると、土器の表面に凹凸ができるため、これをなくすために小さな板などで土器表面をかきます。
すると、それが模様になります。

縄などで文様をつける点は縄文土器とも共通する
最後に、表面をヘラで磨いて仕上げです。
こうして仕上がったものを焼くわけですが、当時はまだ焼き窯は存在していませんでした。
そのため、地面を掘りくぼめたところで、薪を燃やして焼き上げる野焼きが主流だったと考えらえています。
この方法で焼かれた土器は強度と耐久性に優れており、長期間にわたって使用されました。
こうして作られた土器は、家事や調理、貯蔵に役立つ重要な道具となりました。
■弥生式土器の価値
弥生時代は、農業が発展し、定住生活が広がった時期でもあり、こうした土器の存在はその生活の一端を垣間見ることができます。

弥生人の生活の一端に触れることができる吉野ケ里遺跡
弥生土器の制作技術やその使用用途を通じて、当時の人々の生活や社会構造を知る手がかりとなるのです。
また、弥生土器の文様や形状は地域によって異なり、その土地ごとの文化や交易の痕跡を示しています。
先に、こうした文様は当時の人々の美意識や宗教感覚を物語っていると記しましたが、弥生式土器は大昔の日本の文化そのものであると同時に、人々の精神史を探るための重要な遺物となっていると言えるでしょう。
画像:photoAC,Wikipedia
日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan