江戸時代の庶民は、持っている着物の枚数はごく僅か。布は、とても高価なものだったそう。
とはいえ、少なくとも単(ひとえ)・袷(あわせ)・綿入れの3種類は必要でした。季節ごとに変化する気候にちょうど良い着物の種類が異なるのです。

あれもほしい、これもほしいと、着物にお金をかけることはできないので、高級呉服店の越後屋や大丸には縁がないことがほとんど。着物を買うときは、専ら古着屋。

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引用画像:GATAG

■古着屋でお気に入りをゲット!

古着屋が並ぶファッションストリートといえば、神田川が隅田川に流れ込む柳原土手でした。ここには日本全国から多くの人が訪れていたとのこと。新品同様のキレイな着物から着古した着物まで、いろいろ選べる柳原土手で、庶民はお気に入りの一着を見つけたのですね。

仮に少しくらい傷んでいる着物だって、目立たないところに傷んでいるところがくるようにしたり、縫い代を調整したりと様々な工夫をして活用していました。

古着屋の人気商品といえば、吉原の遊女たちが身につけていた腰巻でした。高級な緋縮緬(ひぢりめん)を使用していたのですが、色が褪せたら生地が傷んでなくても、新品に代えた遊女たち。回転の早い遊女の腰巻が古着屋に流れてきて、染め直して売られていました。

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■一枚の着物をとことんリサイクル

古着を買ったら、大事に大事に使います。
何度も洗い張り(※)して、仕立て直し。さらには子ども用の着物にリメイクして、ボロボロになったら赤ちゃんのおしめにします。これだけでも充分元がとれたでしょ!と満足してしまいそうですが、リサイクルはまだまだ終わりません。雑巾や下駄の鼻緒にして、最後にはボロとして売り払います。

徹底した3R精神、現代の私たちが真似をするのは正直難しいけれど、モノを大事にする気持ちは見習いたいものです。消費するだけでなく知恵を絞っていた、江戸時代の庶民は、「暮らし上手」という言葉がぴったりですね。

※洗い張り…着物の縫い目をすべてほどいて洗ってから、しわを伸ばして乾かす。糊付けした布地を広く平らな板に張り込む板張りという方法が手軽と言われていた。明治時代には専用の張り板が普及したけども、それまでは戸板を使って洗い張りを行っていたそう。

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