筆者は学生時代、関西に住み、今でも仕事で行くことが多いのですが、そこで買い物をして値引いているときに聞く言葉に「しゃーないなー、清水(きよみず)の舞台から飛び降りたつもりで勉強(値引き)したるわ~」という言葉があります。

「清水の舞台」とは、京都に実際にある清水寺という寺院にある舞台のこと。
清水寺は、平安時代初期に坂上田村麻呂によって建立されたと伝えられています。

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清水寺(wikipedia)

この”清水の舞台から飛び降りる”という表現、「死んだつもりで思い切ったことをする」ということのたとえなのですが、東京をはじめとした東日本でこの言い回しを聞いたことがありません。やはり関西(特に、大阪、京都、奈良)辺りで頻繁に使われる表現なのでしょうか。関西の読者の方がおられたら是非教えていただきたいと思います。

さて、この「清水の舞台から飛び降りる」という表現、比喩だけの話かと思ったら、昔は本当に清水寺本堂の舞台から飛び降りる人が後を絶たなかったそうです。

なんと昔は本当に飛び降りた人もいた!?「清水の舞台から飛び降りる」の語源になった信仰とは


清水舞台より飛ぶ女(鈴木春信・1765年)

飛び降りる人が最も多かったのは、平安時代末期から鎌倉時代にかけてのことだといわれています。

当時、人々の間では自らの体を痛めて修行すると往生できるという信仰が流布しており、清水寺で観音様に願いをかけた後、実際に舞台から身を投げるものが多かったといいます。願いがかなうときは怪我をすることもなく、たとえ命を落としても成仏できると信じられていたようです。

江戸時代になっても、病気の治癒や恋の成就などを願かけし、身投げする人が少なくなかったようですが、明治時代に入ると危険におもった寺院関係者によって柵が取り付けられ、僧侶が見張りに立つようになったそうです。結果、身投げ行為もおさまり言葉だけが言い伝えられるようになったそうです。

ちなみに、清水寺の舞台は地上まで13メートル、高層ビルの五階に相当する高さ。願掛けのためとはいえ、本当に清水の舞台から飛び降りるのは、よく考えたほうがよさそうです。


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