「やにわに攻めかかる」「やにわに起き上がる」など、「唐突に、即座に、すぐに」という意味を持つこの言葉。「やにわに」とは一体なんなのでしょうか?

漢字で書ける?唐突に、即座に…という意味をもつ「やにわに」の...の画像はこちら >>


「やにわに」は、漢字で書くと「矢庭に」となります。


名詞「矢庭(やには)」と助詞の「に」からなる「やにはに」が、ハ行音変化で「やにわに」となった言葉です。 「矢庭」とは、矢を射る場所、あるいは矢が飛んでくる射程距離を指します。

「やにわに」という言葉の由来については、矢庭=戦場では何事も素早い行動が求められることから、「即座に、すぐに」という意味が生じたとも、また「矢庭」にいれば、「唐」に矢が飛んでくることから生じたともいわれています。

いずれも、ぼーっとしてると命を落としかねない、そんなひっ迫した状況の中でうまれた言葉ですね。

「やにわに」に似た言葉として「やおら」という言葉がありますが、「やおら」は、本来、ゆっくりと動作を起こすことで、「ゆっくりと」「おもむろに」という意味で使うのが正しい使い方になります。

この「やおら」に関してもその語源について、「漸く」の意味を持つ「やをやく」が縮まったもの、あるいは、態度や様子がものやわらかで、おだやかな状態を表す「やはら」(「柔ら」「和ら」)から来たものと考えられています。

文化庁が平成18年度に行なった「国語に関する世論調査」の発表によると、「彼はやおら立ち上がった」という例文の正しい意味を答えられた人の割合は、40.5パーセントという全体の半数以下という結果になりました。

「やにわに」も「やおら」も同じ言葉で始まるし、混交して使っている人が、意外と多いのかもしれません。

ちょっと似ていますが、意味は逆になりますので注意して使ってくださいね。

参考

  • 知れば恐ろしい日本人のことば 「たまげる」の語源に秘められたゾッとする現象とは…
  • 文化庁「平成18年度「国語に関する世論調査」の結果について」

日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

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