企業アナリストの大関暁夫です。毎度「社長のお悩み相談室」のコーナーでお世話になっております。

今回は、以前J-CASTさんで書かせていただいた「営業は難しい ~ココを直せばうまくいく」の続編ともいえる企画を、オンライン営業の支援をメインに企業のお手伝いで実績を上げられている株式会社カレンの藤崎健一社長と、二人で担当させていただきます。

テーマは、今まさに旬なオンライン営業です。「楽しくなければ営業じゃない!~オンライン時代の営業ヒント」と題して、実績をあげるために営業のセオリーをなぞりながら、オンライン時代の営業をいかに楽しく成果を上げていくかについて、さまざまな角度から探っていきます。藤崎社長からは、20年以上にわたるインサイドセールス支援のご経験をもとにした独自理論や具体的な事例などをタイムリーにご紹介いただきながら、読者のみなさんのお役に立てるコーナーにしていきたいと思います。

さて、シリーズのはじめは、大関から営業で成果を上げるためのセオリー理論を紹介しつつ、それがオンライン営業に変わってどのように、そのセオリーを読み替えていく必要があるのか。そのあたりにふれていきます。

では、はじめましょう。

商品知識とは他社商品も知っておくこと

営業活動の成果はどのようにしてあがるのか、それを私の長年の経験を踏まえて導き出しセオリー理論にしたものが「営業成果の法則」といいます。

それは、「営業成果=営業知識×営業活動量」というものです。すなわち、営業の成果は知識と活動量の掛け算で表せられるという考え方です。掛け算であるのは、知識ばかりでも机上論になってしまい成果は上がりませんし、知識が乏しい状態でやみくもに営業活動をしても、やはり結果にはつながらない、という意味合いです。

では、営業知識とはなにか――。

そこから話を始めましょう。営業知識は大きく三つの知識からなります。一つは商品知識。これは自社の商品だけでなく、競合相手の商品も含みます。自社商品に関しては、自社パンフレットや製品説明書を見ることなく流ちょうに説明できるレベルが必要です。

さらには、その製品やサービスなどの背景にある技術や仕組み、あるいは特許や法的な背景など、その製品やサービスが優れていることを裏付ける要素まで、しっかりと資料に頼らずに説明できなくてはいけません。

なぜならば、自社の製品やサービスの説明を資料見ながらでなければ説明できない営業担当は、信頼に足るとは言えないからです。

競合相手の製品は、その内容を記憶する必要はありません。必要なことは自社の競合製品・サービスとの比較です。一般的には「メリット・デメリット比較」といいますが、自社製品のどこが競合に比べて優れているのか、あるいは劣っているのかを客観的な目で判断して正確に把握することが必要です。

セールスをする相手は口に出さなくともたいていの場合、競合製品と比較対象の目で自社製品をみるはずだからです。もし競合に明らかに負けている部分がある場合には、どこでそれを埋め合わせて相手の自社製品への契約意欲をつなげるようなセールスを展開する必要があるのです。

なぜ「日経を読め!」と言われるのか!?

二つ目の知識は、情報知識です。これも二つの知識からなります。一つは、売込先の情報です。業種、提供製品・サービス、取引先、沿革などの基本的情報は必須です。今はこれらをホームページで調べることができますし、相手の企業名で検索をかければ関連の記事も調べることができるでしょう。それと忘れてはならないのが、相手先の業界情報です。

代表格企業はどこか、業界の特性や課題は何か、影響を受ける関連業界はどこか...... を調べます。

情報知識のいま一つは、一般的な経済動向です。営業担当が相手先と話をする際に、仮に雑談であっても、そのやり取りの中で最近の経済動向に関してしっかりと知識を持っているという印象付けをすることで、営業担当としての信頼感向上につながるのです。

一般的な経済動向の入手方法ですが、基本的には「日本経済新聞レベル」を基準として、常に情報のアンテナを張る必要があります。すなわち日経を毎日読んで、今何が話題になっているのか、経済界、産業界の動きをしっかり追いかけることが肝要です。

三つ目の知識は、経験知識といいます。

成功体験にしろ失敗体験にしろ、自己経験を知識化して営業に活かすことはふつうにできるのですが、意外なほどできていないのが他人経験の知識化です。他人経験とは、同僚、先輩など自分以外の経験話を共有することです。すなわち、

「自社製品のどのような点が相手の引きにつながったのか」
「どのようなセールストークやプレゼンテーションが相手にヒットしたのか」
「採用になった自社製品がどのように活躍しているのか」

......。

こうした情報を共有して、自分が経験したかの如く知識化して営業トークなどに活用するのです。そのためには、営業情報会議を定例化して同僚や先輩ら、他人知識を共有する機会を作る必要があるのです。

さて、これからますます増えていくオンライン営業では、この知識の必要性やその内容が変わるのか変わらないのか、どちらでしょうか――。

結論から申し上げると、必要性は変わりません。内容については、藤崎社長からは「今ある三つの知識は変わらないものの、知識の重要性は増すので、内容は今まで以上に濃いものが必要になってくるでしょう」とのご意見をいただいています。

では、どのあたりの知識をどのように濃くしていくべきなのでしょうか。それは次回、お話しさせていただきます。(大関暁夫)

★大関氏、藤崎氏共同で、定期的に「成功するオンライン営業」に関する無料セミナーを開催しています(主催:株式会社カレン)。開催日時・内容詳細およびお申し込み要領は、以下のページからお願いいたします。
https://willap.jp/p/acc_3632/currentseminar/