みなさん、こんにちは。今回は、会社のルールよりも「こっちの方が効率的」だと文句を言ってきた部下とどう関わるか、というテーマでお話していこうと思います。

今回は次のようなシチュエーションを想定して、上司としてどのような考え方をもち、部下にフィードバックすればよいのか考えていきましょう。

文句を言ってくる部下はわがままなのか?

以下のようなシチュエーションで考えてみましょう。

【シチュエーション】
 入社2年目で営業部門の部下Dくんは、仕事を覚えてきて、意欲的に働いている。最近は仕事の効率化を果たそうと、試行錯誤している様子だ。しかし、時間のかかるタスクを後回しにしがちで、それが上司Aさんの悩みの種だ。
 ある日、部下Dくんが上司Aさんに、「会社のルールって非効率ですよね。
絶対に自分の考えたやり方の方が効率的だと思うんです。これだと、どんどん時代に取り残されますよ」と会社の営業部門のルールに対して文句を言ってきた。その言い方には棘があり、どこか挑戦的だ。
 上司のAさんはDくんに対して、「いいから、やることやってから言えよ!」と思ってしまった。

みなさんのまわりには、業務上のルールや仕事のやり方などに対して、文句をいってくる部下はいますか。なかには今回のケースのように、「文句ばかりいってないで仕事しろよ」と思う方も、いらっしゃるのではないでしょうか。

みなさんは、今回のシチュエーションに登場する部下Dくんに対して、どんな感情が湧きましたか。

タスクを後回しにしがちなうえに、やり方に文句を言ってくる姿に、「わがままだ」「なまいきだ」と、つい思ってしまった方もいるのではないでしょうか。

実は、こうしたケースで大切なのは、まずマネジャーがこうした部下を「問題児にしない」ことなんです。

マネジャーの役割から考える

「えー!どういうこと!?」という声が聞こえてきそうですが、マネジャーの役割とは何かを考えてみましょう。

私は、マネジャーの役割は、「メンバーの強みを引き出しながら成長を促進すること」と「組織の目的目標を遂げること」だと考えています。

この2つの役割を考えたとき、頭ごなしに意見を否定することは果たして効果的といえるでしょうか。

今回のシチュエーションでも、Dくんがいってきたやり方が本当に仕事の効率化につながる場合も考えられますよね。

そのような場合は、積極的に意見に耳を傾けましょう。それが部下の強みを引き出すことにつながります。そして、本当にいい意見であれば、上司として責任をもち、取り入れる努力をしましょう。

すると、部下は「自分の意見を取り入れてくれた」と、ますますモチベーションが引き出され、自分の強みを伸ばしていきます。それが結果的に、組織の目的目標を遂げる力になっていきます。

では逆に、意見があまり効果的でない場合はどうしたらよいでしょうか。Dくんは自部門のルールに文句をいっていて、他部門への影響を考えずに提案してきた場合も考えられます。

そのような場合の関わり方はどうしたらいいか。<会社のルールよりも「こっちの方が効率的」だと部下に文句を言われたら...どうフィードバックする?【リーダーの「コミュ力」vol.4後編】>でお伝えしていきます。(橋本拓也)

【プロフィール】
橋本 拓也(はしもと・たくや)
アチーブメント株式会社 取締役営業本部長

2006年アチーブメント株式会社に入社。新規事業として家庭教師派遣事業を立ち上げたのち、医師・弁護士・会計士などの専門職業人、経営者やセールスパーソン等の目的・目標達成の支援を行うパーソナルコンサルタントとして活躍。

2017年同部門の東日本エリア担当マネジャーを経て、2021年執行役員、2022年取締役に就任した。100名以上のメンバーマネジメントに携わる傍らで、『頂点への道』講座 アチーブメントテクノロジーコース・ダイナミックコースのメイン講師を担う。これまで各種研修で担当してきた受講生の数は2万名を超える。