2020年も芸能人の不祥事が多発。有名人が逮捕されたあと、注目が集まるのが釈放・保釈の瞬間だ。

2020年は伊勢谷友介(44)の保釈時の姿が、「刑事ドラマさながらだった」とも話題になった。

過去お茶の間を賑わせた有名人たちの釈放・保釈時の様子と、当時の世間の反応を振り返ると、4つのパターンが見えてきた。

■まるでドラマのワンシーン!? “格好よすぎ”に疑問の声

まずは2020年を騒がせたこの2人。

伊勢谷友介が大麻所持により逮捕・保釈されたのは、2020年9月のこと。翌10月には伊藤健太郎(23)が道路交通法違反(ひき逃げなどの疑い)で逮捕・釈放され、芸能界は波乱の秋となった。

「すべてモノトーン・無地のスタイリングではありながらも、仕立てたようにぴったりのサイジング。拘留から20日以上経っていたにもかかわらず、綺麗に刈り上げられたツーブロックに、『スタイリストを入れたのでは』との憶測も飛びました」(スポーツ紙記者、以下同)

『バイキングMORE』(フジテレビ系)では坂上忍(53)が「かっこいいって思っちゃった」と発言し、物議を醸したことも。

さらに、伊藤健太郎も伊勢谷に続いて決まったスーツ姿で登場。

「伊藤さんは、スーツ、ネクタイ共に濃紺で、実にフォーマルなスタイルでした。また、頭を下げようとも一糸乱れぬそのヘアスタイルにも注目が集まっていた。『こんな状況下でもきっちりと髪をセットしてきたって事だ』とSNSでは半ば呆れたような声も上がりました」

格好よさは俳優の武器ではあるが、反省の意を表すシーンではかえって反感を買ってしまってはいないかと、今後に不安が残るかたちに。

■就活生みたい! ブカブカスーツに失笑も

伊勢谷、伊藤とは違うスーツ姿を見せたのが、ピエール瀧(53)とASKA(62)だ。

2019年に麻薬取締法違反の疑いで起訴、保釈されたピエール瀧。落ち着いた面持ちでカメラの前に現れると、計3度報道陣の前で頭を下げた。とくに2度目のお辞儀は非常に長く、関係者に頭を上げるよう促されるまで、実に26秒間にもわたった。

一方のASKAは2014年に覚せい剤取締法違反(所持)で逮捕、保釈。当日、報道陣に胸中を語ることはなかったが、カメラの前できっちり頭を下げた。

ピエール瀧の保釈当時は、カルロス・ゴーン(66)の作業服コスプレが話題となった時期。SNS上では「作業服で出てきてほしい」と、不謹慎な期待の声が多数上がっていた。いざ保釈されると、合っていないスーツのサイズ感や七三分けの髪型に『七五三かな』『就活生みたい』などとネット掲示板上に書き込まれてしまっていた。

ASKAもピエール同様、スタイリングにネット上で疑問の声が。『大金持ちなのになんで(スーツの)袖の長さが合ってないの「出てくる前に黒染めしたのか?」などとつっこまれていた。たしかにネクタイは少し緩みが見られる上、ジャケットの袖は明らかに長い。

ピエール瀧が保釈されたころ、同じく電気グルーヴの石野卓球(53)がTwitterで彼を擁護・支援する発言を連投。

ファンたちからもそれを支持する声が多く集まり、今年2月に復帰することが報道された。21年春公開予定の映画に出演するとのことだ。

ASKAも2016年に覚せい剤取締法違反(使用)容疑で再度の逮捕・不起訴処分となったが、その後はコンサート活動など、芸能活動を再開。昨年にはテレビで「引退も覚悟した」と、当時の胸中も明かした。

この2人が芸能界に居場所を残せたのは、本人らの更生はもちろんのこと、不恰好で等身大な服装が誠実さを演出したおかげもあるのかも?

■本気なのか、ネタなのか……。インパクト大の行動に仰天

有名人史上に残る保釈シーンといえば、前述のカルロス・ゴーンと田口淳之介(35)の2人だろう。

金融商品取引法違反容疑で逮捕されたカルロス・ゴーンの保釈保証金は、前代未聞の10億円。史上最高額を記録しただけでなく、保釈時には正体がバレバレな作業員姿での登場で、弩級のインパクトを残した。

弁護人が用意した衣装と見られているが、ネット上では作業着や帽子の特定作業が続々と行われ、“お祭り”状態に。さんざんネタにされた挙句、コスプレグッズが各所から販売されるほどの話題になった。

一方、大麻取締法違反(所持)の罪で起訴されていた田口は、保釈時に東京・湾岸署の前で土下座。地面に額をつけての謝罪で、世間を驚愕させた。

「今までにも有名人の保釈を取材してきましたが、土下座は初めて見ました」と語るのは40年近いキャリアを持つベテランカメラマン。

「保釈の瞬間を待つこと3日目、当日は大雨が降りしきるなか12時間待っていたのですが、まさかの土下座にびっくり。現場でも、みな声にこそ出さないもののざわめいていました」と当時のインパクトを振り返った。

正面突破の田口に、逃げの姿勢のゴーン。正反対の対応を見せたが、世間が面白がってしまったという結果は同じ。釈放・保釈時は、あくまでスタンダードを貫いた方がいいのではないだろうか。

■反感を買いづらい? 等身大の私服姿

スーツを着ない選択をしたのが、酒井法子(49)とTOKIOの山口達也元メンバー(48)だ。

アイドル時代に一世を風靡してから一転、09年に覚せい剤取締法違反(所持)容疑で逮捕された酒井。保釈時にはレースがアクセントに施された黒シャツに、黒のパンツスタイルだった。

「少し乱れた髪と涙目での謝罪に、『アイドル時代の“清純さ”を彷彿とさせる』と世間からも同情を買いました。保釈後、東京地裁で行われた公判の傍聴席の倍率は330倍となり、日本の刑事裁判史上最高を記録するまでの注目を集めていましたね」(前出・スポーツ紙記者)

山口元メンバーは、今年9月酒気帯び運転の道路交通法違反で逮捕。強制わいせつ事件・ジャニーズ事務所退所劇から2年のことだった。

釈放時は、黒のTシャツにジーンズという逮捕時とほとんど同じ出で立ちに、ニット帽姿だった。

着慣れないスーツを無理に着るのではなく、地味ながらも自然にまとめたスタイルでまっすぐ謝罪した酒井。身を潜めようとはしつつも、ゴーンのようにきな臭いやり口ではなく、あくまで“一般人らしく”私服で姿を見せた山口。

酒井は今月、13年ぶりに映画へ主演することを発表。山口は芸能界復帰の前途こそ不透明だが、「依存症克服には社会参画した方がよいのでは」など、心身の健康を心配するとともに今後を応援するコメントがネット上で多く見られる。

保釈時に過度に取り繕わないスタイルは、反感を買いづらいというメリットがあるようだ。

一度道を踏み外したとしても、人生そのものがそこで終わってしまうわけではない。しっかりと更生と償いをした上で、社会復帰をしてほしいもの。だがそのためには受け入れてもらうための環境も必要となる。そうした環境を得るために、まず「見た目」から反省の気持ちを周囲に伝えられることも重要なのかもしれない。

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