「今年の経済は、世界的に見れば多少持ち直すようですが、それは昨年、著しく悪化した反動です。一昨年の『コロナ禍前』と比較すれば、国内では軒並みマイナスになってしまうでしょう」
こう話すのは経済評論家である加谷珪一さんだ。
「お金への意識を『銀行で増やす』から『自分で運用する』に改める必要があります。銀行の勧めるままに金融商品を買うのはとても危険ですし、自分で比較検討し、選ぶ習慣をつけるべきです。理想的には貯蓄の半分、少なくとも3割を目安に『継続的な投資』をする準備をしましょう」
初心者には「ハイリスク・ハイリターン」商品は禁物だ。
「日経平均株価やダウ平均株価に連動する『インデックス型』の投資信託を選ぶのが安心な方法です」
節税メリットがあるiDeCo(個人型確定拠出年金)を利用する手もある。
「自分で金融商品を選び、毎月一定の金額を積み立てて運用するiDeCoは、60歳以降に年金、または一時金として受け取ることができる制度です。iDeCoの口座を開設し、日経平均とダウ平均それぞれに連動する2つの商品を選択して、毎月一定額を買いつけるのもいいでしょう」
このiDeCoで積み立てながら、慣れて資産額も増えてきたところで、個別株への投資に挑戦するのもありだろう。
「株式投資をする会社は、各企業のウェブサイトでIR情報を見て『名前を知っている優良企業』『5年間増収・増益を続けている企業』を選ぶべきです。それらは、たとえばコロナ禍で一時的に株価が下がっていても、景気が回復すればいずれ盛り返してきます」
「主婦の方は可能であれば、『自分の得意なスキル』を生かして、お金を増やしましょう」
加谷さんが、まず挙げるのは、家事代行サービス。
「私も一人暮らしの父のために、家事代行サービスを頼むことがありますが、スタッフさんによって仕上がり、気配りなどが雲泥の差です。当然、素晴らしいと思える方にはリピーターがつきます」
ただ、スキルはあっても「どう収入に結びつけるのか」がわからなければ、受注には結びつかない。
「メールやLINE、SNSが使える程度で十分。『自分は何ができて、どんな役に立つのか』を、ツールを使って“顧客視点で発信できる人”が勝ち組となります」
コロナ禍だからこそ「主婦のデジタル化」はチャンスを生む。
「デジタル化すれば、移動頻度も低くなり交通費が削減できます。家で完結できることも増えるので、不要不急の外出にもなりません。店舗とネット通販では、後者のほうが安いことが多いですよね。その逆と考えれば、店舗を持たず、ネット上で仕事を受けるほうが、経費も人件費も削減されて、同じ商品でも安く売れる=買い手に選ばれるメリットとなるんです」
お金を増やすためには「夫のご近所デビュー」も重要だ。
「在宅ワークで給与減になってしまっている場合もあるでしょうし、早期退職も今後、考える必要があるかもしれません。そんな夫には近所の知り合いを紹介して『ご近所デビュー』をしてもらいましょう。会社一筋で“対面コミュ力”の低い夫のサポートができるのは、『ご近所力』にたけた主婦です」
夫の“対面コミュ力”が上がれば、夫婦で新しいチャレンジをする可能性も広がる。
「たとえば、『クラウドキッチン』といって、時間貸しの厨房などを利用し、店舗を持たずに料理をデリバリーするサービスが、いま伸びています。設備投資がいらないので、リスクが最小限です。
「女性自身」2021年1月19日・26日合併号 掲載