IT企業役員の肩書を持ち、確固たるマネー論を展開する厚切りジェイソンさん。「投資」と聞くと腰が引けてしまう人が多いそうだが、彼自身、まずは日常のムダを徹底的にカットすることから実践中。
「アメリカでは、多くの企業が社員の資産運用をサポートする確定拠出型年金制度を導入しているんですよ。僕も社会人になったときに始めて、“安全かつ分散された”投資をこれまで続けてきました」
そう語るのは、お笑い芸人であり、IT企業の役員でもある厚切りジェイソンさん(35)。「現在も毎月末、向こう2年分の生活費を手元に残し、それ以外はすべて投資に回す」という。ジェイソンさんがお金でうれしい思いをした最初の記憶は、子ども時代にさかのぼる。
「お小遣いを金融口座に入れておいたら、何もせずに利子が5%ついて。それに対して、今の日本は何? たとえ数千万円の預金がある人でも、利子は数十円って。やめてあげてくれ~(笑)」
ジェイソンさんは3人の娘に手書きの「ノート通帳」を作り、お金を管理させている。
「長女が6歳、三女が2歳のとき、3人同時に作りました。基本的には、お年玉を誰からいくらもらったか。ただし、僕の親はドルでくれるので、娘と一緒に為替を調べ、円換算して記入します。そして毎年、年末になると、残高に対して1割の利子をあげているんですよ」
こうして、娘たちは自然とマネー感覚を身につけていった。
「ゲームが欲しい、というときは、複数の店の値段を一緒に調べます。
■して“いい”借金もある
そんな節約家の彼も、家族との時間が大切だからこそ「自宅の購入はちょっと頑張った!」と笑う。
「日本は借りるほうの金利もすごく安い。現金で買わず、資産運用しながらローンを組むとして、借りる金利が2.6%、資産運用の利回りが5%なら、その差額2.4%で完済できるし、30年後には家もお金も手元に残る(笑)。借金にも、いい借金と悪い借金があるわけです」
いい借金の目安は、金利3%以下。自身のインデックスファンドの利回りを下回ることが条件だ。
「もちろん、いい借金だとしても、買おうとしているものが本当に必要か、きちんと考えることが大前提。それは、日常の買い物から意識することで習慣づきます。たとえば、あなたは毎日500円のコーヒーを買う。
惰性のコーヒーは、「あなたの労力に見合っていますか?」とジェイソンさん。
「もちろん本当に好きならいいけど、1日540円。1年なら19万7,100円!! それを投資に回せば、年の利率が5%として20万6,955円。1年で約20万円、20年で400万円! ただの惰性で定期的に発生していくお金は、“自由に生きることを先送りにしている”ってことなんだよ~!!」
何を買うにせよ、「稼ぐ労力と支払う価値」を天秤にかけるのだ。
「誰しも、コーヒー含め、欲しくないものを買わなければ、多くの収入は必要ないんじゃないかな? 一度、自分が幸せに生きるにはいくら必要か考え、最大限にカットしたうえで、残った額を投資に回してみる。それでお金が増えれば、自由に、幸せになれませんか? でも、全員が何も買わなくなったら、世界の経済が止まってしまう。ものを買う人のおかげで株価が上がる、という事実のなかで、消費と節約にメリハリをつけて、それぞれが幸せになりましょう!」