皇族数の確保策、2案に絞り込み――。菅政権が設置した皇位継承のあり方に関する有識者会議は、皇族数の確保策として“女性皇族が結婚後も皇室にとどまる案”と“旧皇族の男系男子を養子に迎える案”を中心に議論する方針を固めたという。

現在の皇室典範では、女性皇族は結婚に伴って皇室を離れることになっている。そのため女性皇族も「宮家」の当主として結婚後も皇室にとどまれるようにすることが検討されているのだ。ここで争点になっているのが配偶者となる一般男性と、子供の扱い。

もし女性宮家が制度化されたあとに眞子さまと小室さんが結婚したなら、小室さんが皇族になるのでは――。そのような危惧が一部報道やSNS上でみられたが、有識者会議でも次のような発言があった。

ヒアリングに呼ばれた漫画家の里中満智子氏は「女性皇族が結婚なさってその夫も皇族となれば、権威を得る手段として女性皇族を利用する男性が出現しないとは限らない」と発言。

さらに櫻井よしこ氏も「女性皇族が一般の男性と結婚して女性宮家ができて、一般の男性が皇族になるというのは、今まで本当にどういう方か分からなかった方が皇族になるということだ」と危惧を表明した。

「ヒアリングで反対論が続出したことを踏まえれば、仮に有識者会議が女性宮家創設を提言するとしても、女性皇族が皇室に残るだけにして、夫は民間人のまま、子供が生まれても皇族にはならないという形にするでしょう」(皇室担当記者)

だが、宮内庁関係者は次のように語る。

「小室さんが皇族になることに強い反発がありますが、“内親王の夫の一般人”となるのも問題です。皇族ならば品位を保持する義務がありますが、一般人であれば宮内庁が行動をコントロールすることは原則的にできません。一方で“内親王の夫”というポジションは手にするわけですから、その肩書を仕事に利用されてしまう可能性は十分にあります」

イギリス王室に目を向ければ、メーガン妃は王室での経験を語る“暴露インタビュー”で注目を集め、“サセックス公爵夫人”という肩書で絵本も出版している。

小室さんも、フォーダム大学入学時に“眞子内親王のフィアンセ”と大学のウェブサイトで紹介されていた。

約650万円の学費が免除されたため“皇室利用”ではないかとの疑惑も浮上したほどだ。

■眞子さまと小室さんの財布は別々に

そんな小室さんが“自分も子供も皇族になれない”となれば、“皇族の夫”という肩書を最大限ビジネスに利用することに方針転換してもおかしくないだろう。さらには小室さんが皇族方のプライバシーの暴露にいたるような危険性があることは否めない。

しかも “夫と子供を皇族にしない”という案には問題点が山積みなのだ。元宮内庁職員で皇室ジャーナリストの山下晋司さんは語る。

「女性皇族が皇室に残るということは、皇室の戸籍にあたる皇統譜に登録されたままということです。

一方で夫や子が皇室に入らないということは、我々と同じ一般の戸籍に登録されることになるでしょう。つまり、戸籍は別々という“事実婚”になってしまいます。また、皇族の家族であっても、一般国民である夫や子が、国が用意した宮邸に住むことや、国家公務員である宮内庁職員にお世話されることは問題があります。

さらに、皇族には国から“皇族としての”品位保持のために皇族費が支給されますが、これを一般国民である夫や子の生活のために使用することも問題です。夫婦間、親子間で財布を別々にする必要も出てくるでしょう」

また、近現代の皇室に詳しい静岡福祉大学名誉教授の小田部雄次さんは「女性宮家の創設を認めても本来の課題はまったく解決されない」と指摘する。

「皇室の喫緊の課題は、皇位継承者を確保することです。

内親王や女王が結婚後も皇室に残ることになっても、皇位継承者の増加にはつながりません」

小田部さんは、女性宮家や女系天皇反対論に小室さんの存在が利用されていることに警鐘を鳴らす。

「小室さんは特殊な事例だと思います。女性皇族が結婚相手に選んだ一般男性が皇室に入るのはダメで、旧宮家の男系男子なら問題ないという発想は、一般国民に対する差別と言っていいでしょう。民間の男性が全員小室さんのように国民に不信感を与える人だという図式で語るべきではありません。小室さんをめぐるトラブルを利用した女系天皇反対論は政略的だと思います」

皇室の存続に関わる議論さえ、1人の男性の存在に左右される現状に慄然とせざるをえない――。