7月7日に突如として開催中止が発表され、大きく波紋を呼んだ「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2021」(以下ロッキン)。開催1カ月前というタイミングで、茨城県医師会が主催者である茨城放送に新型コロナの感染対策に関する要請書を持参。
そうした事態を受け、一般社団法人日本音楽事業者協会・一般社団法人日本音楽制作者連盟・一般社団法人コンサートプロモーターズ協会・一般社団法人日本音楽出版社協会の4団体は10日に共同声明を発表。
声明文によると、《政府や各自治体といった行政機関ではないところからライブ中止要請などが出され、その事によってライブを中止せざるを得ない事態が起きています》と茨城県医師会が「ロッキン」に中止要請を出したことに言及。
さらに今年4月30日~5月2日に開催予定だった「ARABAKI ROCK FEST.20th×21」が直前で中止となったことについても、《宮城県医師会・仙台市医師会・柴田郡医師会の連名で主催者へ開催10日前に中止要請の手紙が届いていました》と地元医師会の要請があったことを明かしている。
そして開催地域の医師会がライブ活動に対して要請を出すことに、次のように異議を唱えたのだ。
《地域の感染拡大予防と医療体制の維持に昼夜ご努力されている医療従事者の皆様には感謝の言葉が尽きることはございません。しかしながら法的な中止権限はないとはいえ、地元の医師会が反対する中での開催は主催者にとって大きな負荷となるのは言うまでもありません》
■新潟県医師会は「フジロック」に要請を出すのか
昨年はほとんどのフェスが開催を見送り、「今年こそは」と思っていたなかでの相次ぐ直前の開催中止。それだけに現在SNS上では、音楽ファンから《フジロックは大丈夫なのだろうか》《フジロックも、あらゆる調整が不可能な開催1ヶ月前に新潟県医師会から中止要請が出たらどうするんだろう》などと、8月20日~22日に新潟県湯沢町苗場スキー場で予定されている「FUJI ROCK FESTIVAL’21」の開催を不安視する声も広がりはじめている。
観光が産業の中心となっている湯沢町では、観光まちづくり機構や商工会などが同フェスの開催前までに「湯沢町合同職域ワクチン接種」の完了を目指していた。しかし厚労省からの職域ワクチン供給が一時停止となったことを受け、延期に。
この事態を受けて同町は新潟県と調整の結果、「若干のワクチン供給が可能との回答を得ることができた」と発表。「湯沢町に住民登録している就労者」かつ「湯沢町合同職域ワクチン接種に申し込んだ事業者の従業員」であることを条件に、通常の集団接種とは別日程でワクチン接種の実施が決定したばかりだ。
「フジロック」の開催に向けて、一丸となってワクチン接種が進められている湯沢町。本誌は12日、新潟県医師会が同フェスに対して感染対策に関する要請を出すのかどうか聞いてみた。
事務局の担当者は、「こちらとしては、どうこうしようといった動きはありません。今のところ要請を出すといった話も出ていません」と回答。また「『ロッキン』の中止をどのように受け止めているか」との質問には、「茨城県とは事情が違うので」とのことだった。
「フジロック」開催まで残すところ約1カ月。果たして、無事に開催できるのかーー。