外へ出て人と話す機会が減った今、ちょっとした言動への配慮がおろそかになってはいませんか? 相手を気遣う言葉づかいの基本を、専門家にレクチャーしてもらいましたーー。
「『ふるまい』のなかでも『言葉づかい』はその人の魅力を測る大きな要素です。
そう話すのは、マナー講師で「ふるまいコンシェルジュ」の高田将代さん。国宝の綴織(つづれおり)「當麻曼陀羅(たいままんだら)」を有する奈良の當麻寺に生まれた高田さんは、あのグレース・ケリーやジャクリーン・オナシスも通ったフィニッシングスクールで学んだ後にMエレガンスアカデミーを主宰、これまで全国各地で開いたマナー講座も大盛況のスペシャリストだ。
今回は、日常生活のさまざまな対面シーンでの“感じがいい人”になる言葉づかいのポイントを高田さんから伝授してもらった。
【1】一人称は「わたくし」で
「『わたくし』で、話し始めると、その後に続く言葉も自然と美しい言葉をチョイスできるようになるものです」(高田さん・以下同)
きれいな言い回しは何度も実際に口に出し、徐々に自分の中にしみ込ませていくものだという。
【2】「ポジティブ要素は後出し」に
「相手にネガティブなことを伝えなくてはならないときはコツがあります。ネガティブな事柄を先に、ポジティブなことは後に、という順番で話しましょう。与える印象がガラリと変わります。たとえば『これからは景気が上向きになるから頑張ろうね。大変なことがたくさんあるかもしれないけど』と言うと見通しが暗い印象がありますが、『大変なこともたくさんあるけれど、景気は上向きになるから頑張ろうね』であれば、ポジティブな印象を与えます」
ちょっとしたことだが、相手に伝わる印象が大きく変わる。ポジティブは後出し、を心がけよう。
【3】お願いは「~していただけますか?」
「何かをお願いするときは、『~してください』と言い切るより、『~していただけますか?』と伝えましょう。
相手の気持ちを想像する言葉づかいが、依頼を気持ちよく承諾してもらえることにつながる。
【4】「お先にどうぞ」のゆとりを
「エレベーターやバス・電車に乗るときなどは、まずは相手に『どうぞ』と席を譲る、道を譲る姿勢を心がけましょう。忙しい現代はなにかと先を争うことが多いだけに、譲る気持ちを持つと温かい関係が生まれます」
常に時間に少しゆとりを持って行動することも大切だという。
「これらの心がけを習慣にし、言葉づかいの中に“気遣い”と“優しさ”を息づかせることで、“感じがいい人”にグッと近づくことができます」
相手を大切に思う気持ちが、自分自身を「大切にされる存在」に導いてくれるはず。