しっかり者というイメージがある阿川さん。でも、終活とかは特に始めていないそうです。
「知り合いから『阿川さん40周年ですね』と言われたのですけど、『なにが?』と、思わず返してしまいました。最初にテレビのレポーターをやったのが’81年だから、今年で40年になるんですって。ディナーショーで全国ツアーでもしようかしら(笑)」
そうちゃめっ気たっぷりに話すのはタレントでエッセイストの阿川佐和子さん(67)。
コロナ禍で阿川さんの生活にも変化があった。地方出張などが減り、1日3食作るような日も増えた。昨年5月には、母のみよさんが逝去。享年92だった。海外に住む弟のために、葬儀の様子をネットで中継する“リモート葬儀”も行った。
今年3月、長く続けたレギュラー番組『サワコの朝』(TBS系)が9年半の歴史に幕を下ろした。
「それまでは私、ちょっとつらかったの。
『やってらんねぇ!』と泣いたこともありましたが、そんなときに夫は『もうご飯は簡単でいいよ』って。けっこう救われました(笑)」
■「希望に応えられない」そう思うまで続けたい
結婚せずに生きていくつもりになったという阿川さん。しかし’17年、63歳のときに、5歳上の男性と結婚。
自粛生活で、顔を合わせる頻度が増えた結果、仲が悪くなってしまった夫婦も多いと聞く。阿川さんの夫婦円満の秘訣はというと。
「私が仕事に追われて機嫌が悪そうだと、夫はスーッといなくなります。私が寝室に移動すると夫はスーッとリビングに、磁石の同じ極同士みたいな感じ(笑)。それで、ご飯のときだけ一緒になるんです。若い夫婦じゃないので、お互いに心地よい時間や生活のリズムができちゃってるでしょ。
今月7日、こんな阿川さん流の人生の秘訣が詰まった『アガワ流生きるピント』(文藝春秋)を出版した。「仕事」や「恋愛」、そして「認知症」から「セックスレス」まで、さまざまな人の悩みにQ&A形式で答える本だ。
40年走り続けた今、「老い」や「終活」について考えることも増えた。
「夫は5歳上ですから、どちらかが認知症や病気になることも考えます。でも、いざとなったときのことについては、『地震がおきたら、あの公園ね』ということくらいしか、まだ決めていません。もし、夫と同時に死ぬことができたら、いちばんいいですよね。でも、それは難しいから、いずれ考えないといけません」
仕事の引退を考えることはないのだろうか。
「夫には『見るに耐えないと思ったら、“テレビの仕事をやめなさい”とはっきり言う』って宣告されています。でも原稿の仕事はオファーがあれば『もうご希望に応えられません』という段階になるまでは続けたい。だから、早期引退ということは考えていません、って、すでに『早期』じゃないけどね(笑)」
人生経験を重ね、ますます魅力的になっていく阿川さん。まだまだサワコの活躍は続く。
(取材・文:インタビューマン山下)