59歳以下は“基礎疾患あり”の人だけが対象になる4回目接種。自分は関係ないと思っていても、実は対象の場合も! 打つべきかどうかの判断基準を医師に解説してもらったーー。

「4回目接種の対象外の方は、現段階で国のほうから接種機会を提供することはありません」

59歳以下の新型コロナワクチン4回目接種について、こう話すのは、厚生労働省担当者だ。

5月下旬にも始まるワクチン4回目接種。接種対象となるのは、“60歳以上の人”、“18歳から59歳までの基礎疾患のある人”、“医師が重症化リスクがあると判断した人”だ。3回目の接種から5カ月以上が経過すれば4回目接種を受けることができる。

これまでと異なり、ワクチンを打てる人たちが限定される4回目接種。本当に、それ以外の人は打たないでよいのだろうか?

日本ワクチン学会や日本ウイルス学会などの理事も務める長崎大学医学部教授の森内浩幸さんはこう語る。

「現在、ワクチンの“感染予防”の効果は少なくなってきています。いま供給されているワクチンは最初に発見されたウイルスを対象に作られたもの。デルタ株以降、変異を繰り返すうちに、ワクチンによる感染予防の効果が下がってきました。イスラエルのデータでは、3回目までしか接種していない人に比べ、感染率を30%ほど下げる効果しかありません」

1回目のワクチン接種の際、ファイザー製では70~80%以上の感染予防効果が報告されていた。

「さらに、せっかく得た感染予防の効果も接種1カ月後で大きく下がり、2カ月後で接種していない人とほとんど変わらない程度になったと報告されているんです」

一方で、“重症化予防”の点では、ワクチンは依然有効だ。

「厚労省が4回目のワクチンとして使用を決めたのはファイザー製とモデルナ製。

この2社のワクチンは、感染を防ぐ抗体を作るだけでなく、体内でウイルスに感染した細胞をつぶしてウイルスの増殖を防ぐ“細胞性免疫”を作ってくれます。この細胞性免疫が作用する部分は、変異が進んだオミクロン株においても80%程度保たれているため、重症化を防ぐ効果が望めるんです」

健康な人は、3回の接種で重症化を防ぐ免疫が十分ついているため4回目を接種しても重症化を防ぐ効果は大して上がらない。

「しかし、重症化リスクのある基礎疾患を持つ方や高齢者では、追加接種を受けることで重症化や死亡リスクを大幅に下げられることがわかりました。そのため4回目接種の対象は、重症化リスクの高い、60歳以上や基礎疾患を持つ人に限ることとなったのです」

ファイザー社の報告によると、60歳以上の高齢者では3回目接種までしか受けていない人に比べ、重症化する確率を4分の1に抑えることができるという。

■59歳以下でも基礎疾患があれば接種を

今回のワクチン接種、「基礎疾患持ちではないし受けなくていいや」と思っている人も多いだろう。しかし、実は自分で認識していなくても、基礎疾患や重症化リスクがあり、医師によって接種が認められる場合もあるという。

「過去に健康診断で、病院への受診を勧められたにもかかわらず放置している人は、一度医師の診察を受けるとよいでしょう。医師の診断を受けていないだけで、基礎疾患に該当する可能性があります」

そう語るのは、ナビタスクリニック理事長の久住英二さん。

さらに、基礎疾患というと、糖尿病や心不全など重い病気ばかりを想像しがちだが、高血圧や大きないびきを特徴とする睡眠時無呼吸症候群も含まれている。また、BMIが30以上の肥満の人も、4回目接種の対象だ。

4回目接種は、自治体によって接種券の配布方法が異なる。大阪市は3回目接種から5カ月が経過した18歳以上の全住民に接種券を郵送するが、対象者以外は接種できない。

埼玉県戸田市では60歳以上の人だけに接種券を送付するという。

「18歳以上59歳以下で基礎疾患のある方が4回目接種を受けるには、接種券の送付を申請する必要があり、それに関する案内を全戸に配布しています」(戸田市新型コロナウイルスワクチン接種対策室)

つまり現状で示されている方針に沿えば、59歳以下の人はワクチンを接種したほうがよいか医師に相談して判断し、場合によっては接種券を取り寄せる必要がある。

そこで、本誌は4回目接種をすべきかどうかを判断するためのチェックリストを作成した(画像参照)。まずは自分が打ったほうがいいのかどうかを確認し、かかりつけ医などに聞いてみよう。

これらの基礎疾患はなぜ重症化リスクを高めるのだろうか?

「コロナは肺炎を引き起こしたり上気道に炎症を起こすことがわかっていますから、呼吸器に疾患がある場合は注意が必要です。たとえば、肺気腫やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)など。ぜんそくは重症化リスクにはそれほど関係ないことがわかってきましたが、治療をしている場合はかかりつけ医に相談してみるとよいでしょう」

さらにコロナウイルスに感染して重症化すると、心臓や腎臓、肝臓にも負担がかかるため、これらの疾患を持つ人も注意が必要だ。

「基礎疾患には含まれなくても、気になる疾患がある人は、かかりつけ医に相談するとよいでしょう。現在の病状をふまえて、接種の必要性を判断してくれますよ」

自治体が接種券を送ってくれずに重症化するのは避けたいもの。自分の身を守るため、接種の必要性を見極めよう!

■「4回目接種」打つべき人チェックリスト

【4回目接種】対象はどんな人?高血圧、BMI30以上は60歳...の画像はこちら >>

※画像内の基礎疾患は抜粋です。四回目接種の対象となる基礎疾患にはこれら以外に染色体異常、重症心身障害、重い精神疾患や知的障害がある人も含まれます。詳しくは自治体が発表する資料を確認してください。

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