「なんか、脱水が終わったばかりの洗濯物を干そうとすると、すでにくさい気がするんです……」(40代)
「洗濯槽クリーナーを使っているのに、また洗濯物にカビが付着してて……」(50代)
そんな読者からの「洗濯の悩み」の声が続々寄せられた。
とうとう今年も梅雨入り。
「特にこの時季、『洗濯したばかりなのにくさい』とか『カビが付着している』という悩みが増えます。そんな場合の多くは、洗濯槽の裏側にびっしり発生しているカビが原因です」
こう話すのは、全国約1700店舗を展開するハウスクリーニングの全国チェーン「おそうじ本舗」技術アドバイザーの尾崎真さん。
洗濯機にカビが発生するメカニズムを説明してくれた。
「カビが繁殖しやすい三大要素とは〈1〉温度が20~30度、〈2〉水気、湿気が多い、〈3〉カビの栄養分がある、ことです。必ず水を使う洗濯機は、つねに湿気が多く、室内温度はこの時季20~30度になります。そして、洗濯前の衣類に付着している皮脂汚れやホコリは、カビの格好のエサ(=栄養分)になるんです」
そもそもがすでにカビの生える温床の洗濯機。それに加えて、私たちのどんな習慣がカビやニオイを発生させるのだろうか。NGを挙げていこう。
【NG1】洗濯機のふたを常に閉めている
「気温や湿度が上がる梅雨の時季の洗濯機は、前出の3条件がそろい、雑菌や細菌をぜいたくに培養できる環境が整ってしまいます」(尾崎さん・以下同)
ふたを閉めることで、なおさらこの環境が完璧なものとなる。カビの繁殖やニオイを抑えるために、洗濯していないときは常にふたを開けておき、換気に努めよう。
【NG2】洗濯機自体を洗濯カゴ代わりにしている
すぐ洗うからと洗濯物を洗濯槽内にためていくと、カビはどんどん繁殖する。
「洗濯機の中には、靴下をはじめ衣類についた土もけっこう持ち込まれていて、これもカビの繁殖を促します。また、毎日の洗濯で洗濯槽が完全に乾くには時間が足りず、家族の人数が多ければ、より多くの土や皮脂汚れ、ホコリがたまります。きちんとカゴを設け、洗濯機をまわすまで中に入れないのが◎」
【NG3】洗濯後、衣類を槽内に放置することがある
洗濯物をぬれた状態で洗濯槽内に放置しておくと、湿度がぐんと上がりカビが発生する。
「すぐに干せないときは、洗濯物を入れる専用のカゴに移しておくと、槽内のカビは防げます」
【NG4】洗濯槽クリーナーに頼っている
クリーナーを使っても、「次に洗濯したら、すぐ黒いのとか茶色いのがくっついてて……」と、心が折れた経験を持つ人もいるはず。
「洗濯槽の内槽と外槽のあいだに水がたまるんですが、カビはその両側に生え、しかも上部に多いんです。これをバイオフィルムといい、さまざまな種類の菌がフィルム状に張りついた状態です。実は洗濯槽クリーナーでは、洗い水に溶けだしている菌は除菌できても、内部のカビを全部は除去できないんです」
すると私たちでできる洗濯機のカビの防止対策はないの?
「家庭でも、できることはあります。酸素系漂白剤を使って掃除する方法です」
■“酸素系漂白剤”を使って掃除する手順
準備するもの:粉タイプの酸素系漂白剤500グラム程度/針金タイプのハンガー/使い古したストッキングまたはタイツ
〈1〉洗濯機の「水量」「洗い時間」をどちらも最大にしてスタートボタンを押し、すぐに一時停止を押す。50度程度の熱めのお湯を洗濯槽の上から10センチくらいまで入れ、ほぼ満水にして「スタート」を再度押す(洗い作業が始める)。
〈2〉数分回したら「一時停止」を押し、粉タイプの酸素系漂白剤500グラム程度(市販のものだと1本丸ごと)を入れる。お湯に反応してシュワシュワしだしたら、「スタート」を押して5分ほど回す。
〈3〉黒い汚れがすこし出てくるので、「一時停止」させて、約2時間そのまま放置する。
〈4〉針金ハンガーにストッキングをかぶせた「ハンガーネット」で汚れをすくい取る。終わったら排水し、「水量」「洗い時間」を最大にして1サイクル洗濯機を回してすすぐ。汚れが出なくなるまでこの動作を繰り返す。
洗濯機メーカーによっては、酸素系漂白剤の使用(過炭酸ナトリウムでの発泡)を推奨していないため、事前に確認をしておこう。
【NG5】洗濯槽の洗浄に冷たい水を使う
酸素系漂白剤を使った掃除が洗濯槽クリーナーを使う方法と違うのは、やや熱いお湯につけ置きして、ふやかすことと、粉タイプの漂白剤を割と大量に使うこと。
「ここで注意すべきは、やや熱めのお湯を、洗濯槽の上から10センチいくらいの位置まで注ぐことです。お湯のほうがカビをはがしとる力が強くなります」
【NG6】ドラム式のフィルターの掃除は週に1回
ドラム式の場合、乾燥機能がついているので、「毎回、乾燥機能まで使う」ことで縦型よりカビは生えにくくなる。しかし、フィルターや乾燥ダクトを放置すると、中に繊維が詰まったりして、乾燥時間が無駄に延びてしまう。洗濯のたびにフィルター掃除は必須だ。また、開閉口のパッキンに水がたまり、カビが生えやすいので、気がついたら拭き取るようにしよう。
「排水周り、洗剤投入口も赤カビ、黒カビが発生しやすいです。こちらも、定期的に掃除をしてください」
そのうえで、洗濯機が設置してある空間は24時間換気扇をオンにしておくのがいいという。
この尾崎さん直伝の注意を払っても、カビが取り切れない場合もあるそうだ。そんなときは、「おそうじ本舗」などのプロの手を借りて、1年に1度程度は有償のメンテナンスを検討してもいいだろう。
基本は2メニューあり、除菌清掃(税込み1万2100円、一部機種で対象外あり)と洗濯機の完全分解洗浄(税込み2万3100円、一部メーカーで追加料金あり)などがある(詳しくはHP確認)。
まずは今日からできることを始め、カビいらずの梅雨を目指そう。