関東甲信越では平年より1日早く梅雨入りが発表された。ぐずついた天気が続くこの季節。
「梅雨時は低気圧の影響で、体のだるさや心のモヤモヤなど、心身のさまざまなトラブル、いわゆる“梅雨だる”を訴える人が増加します」
そう語るのは、公認心理師で神戸心理療法センター代表の高井祐子先生。
ウーマンウェルネス研究会が、首都圏に住む20~50代の男女609人を対象に行った調査(’19年)によると、「梅雨の時期に何らかの不調を感じている」と答えた人は全体の57.3%で、女性の場合66.6%にも上った。
さらに読者世代の女性は、更年期の症状も重なって、不調が増幅することがあると高井先生は警鐘を鳴らす。
「更年期障害では、ささいなことでもすぐにカッとなって、怒りが収まらないことがよくあります。そこに“梅雨だる”が加わると、さらに心が乱れ、過度なストレスを招いてしまう。ストレスをため込むと、怒りや落ち込みなどのネガティブな感情をコントロールできなくなり、ひどくなるとうつ病になってしまうことも」
次の「チェックリスト」は心の不調のシグナル。1つでも当てはまる人は、心が乱れ、“梅雨だる”になっている可能性が高いそう。
【梅雨時の心不調チェックリスト】
□ 雨の日は気分が落ち込む
□ 梅雨時は何かと疲れやすい
□ ささいなことでカッとなる
□ よく腹立たしい出来事を思い出す
□ なかなか寝つけないことが多い
ではいったい“梅雨だる”を解消するには、どうしたらいいのだろうか? そこで高井先生にすぐに実践できる8つのセルフケアを教えてもらった。
【1】朝食にハムチーズトーストを食べる
まずは、毎日の食事を見直すことが重要だ。
「心の安定を図るには“幸せホルモン”とよばれる『セロトニン』を分泌させることが大切。セロトニンは『トリプトファン』というアミノ酸を材料にして作られますが、これは体内で生成することも、貯めておくこともできないため、毎日の食事から取り入れる必要があります」(高井先生・以下同) どのような食事を選べばよいのだろうかーー。
「トリプトファンが豊富に含まれるチーズやヨーグルトなどの乳製品、納豆や味噌などの大豆製品、マグロやカツオなどの赤身魚などを積極的に食べましょう。このほかにも、エネルギー代謝を促す『ビタミンB群』が豊富に含まれる、豚肉、卵、レバーなども意識して取りたいところ。朝食は和食派の人は豆腐の味噌汁に卵焼き、パン派の人はジャムトーストではなく、ハムチーズトーストがオススメです」
【2】耳のツボをマッサージする
食事に続いては、心と体をリラックスさせるケアを。低気圧による不調は“耳のツボ押し”で解消。
「低気圧による『頭が痛い』『だるい』といった症状は、気圧センサーの役割を担う内耳が関係しています。耳上部のくぼみの間に『神門(しんもん)』というツボがあり、ここを優しく刺激することで耳の血流を促し、自律神経が整って不調が改善されるのです」
【3】外出時は一定のリズムで歩く
一定のリズムを繰り返す運動は、幸せホルモンのセロトニンの分泌を促すため、外出するときは一定のリズムで歩くことを意識しよう。
■笑顔でバンザイも効果的
【4】笑顔でバンザイする
しんどいときは脳を“錯覚”させることも有効だという。
「口角を上げてバンザイのポーズをすると、脳が『楽しい』と勘違いしてくれます。笑うことには免疫力をアップさせる効果もあるので、『はっはっは』と声を出して笑いながら、両手を思い切り上げるとなおよいです」
【5】間食にナッツ類やプルーンを食べる
「ミネラル」も“梅雨だる”改善に必要不可欠だという。小腹がすいたときはスナック菓子やスイーツなどの炭水化物は控えて、ナッツ類やプルーンなどを食べて不足しがちなミネラルをチャージ。
「鉄やマグネシウムなどのミネラルは体調を整えるうえで重要な栄養素。不足すると貧血やうつを招くことも。
【6】“推し”の写真や動画を見る
最近はやりの“推し活”もじつは“梅雨だる”解消にもってこい。自分の好きなことを行うと気分が晴れやかになるため、心のよりどころとなる“お守り”を見つけておこう。
「心がざわついたときには“推し”の動画や写真を見るなど、自分の好きなことをするのがオススメ。羽生結弦選手が好きならフィギュアスケートの動画を見るとよいでしょう。私もBTSのジミンの顔を見て、ホッとしています(笑)」
【7】入浴中に自分を褒める
そして、一日の終わりには心と体の休養を心がけよう。
「湯船につかるときは、『はぁ~』と、体の中から老廃物を出し切る感じで長く息を吐きましょう。入浴は代謝をアップさせるだけでなく、副交感神経が優位になって心が落ち着きます。また、『今日も一日お疲れさま』『よく頑張ったね』などと、声に出して自分をほめると、ネガティブな感情が抑えられて、心がスッキリしますよ。寝つきをよくするためにも就寝の2時間前には入浴を済ませましょう」
【8】寝る前にスマホを見ないようにする
スマホの光が目に入ると、交感神経が優位になって寝つきが悪くなる。心を落ち着かせるためにも就寝前はなるべくスマホは見ないようにしよう。
1カ月ほど続くじめじめとした梅雨の時期。セルフケアで、心は晴れやかに過ごそう!
【PROFILE】
高井祐子
神戸心理療法センター代表。