「今年で、『日本統一』シリーズの第1作から10年目となりました。初期のころは、街中でロケをやれば『ヤバそうな男たちが大声でケンカしている』と警察に通報されていたのが、今ではロケバスが女性ファンに囲まれたり、劇場版の舞台あいさつでは出演者の名前が入ったお手製のウチワ片手に声援を送ってくださったりして……。
予想外の反響を、少し戸惑い気味に話すのは、任俠世界を描いた『日本統一』シリーズで主演の一人を務める本宮泰風(50)だ。
同作品は、本宮演じる沈着冷静で策謀に長けた氷室蓮司と、思い立ったら暴力に訴え、銃をバンバン撃ちまくる田村悠人(山口祥行)の対照的なコンビが、日本のヤクザ組織を統一していく物語。現在までにレギュラー作品は異例の53作を数え、スピンオフ作品『山崎一門』もシリーズ化されている。
「兄弟がてっぺん取るのを手伝うだけだ」「オレを男にしてください」と、刑務所行きも厭わず暴れまくる“男の作品”なのだが、なぜか“任俠女子”と呼ばれる女性ファンが増殖中。
「昔はレンタル店で借りなくては見られなかったのが、動画配信サービスが普及し、自宅で手軽に見ることができるようになったことが大きいと思っています。また、“男が男にほれる”という任俠の世界は、究極のBL(ボーイズラブ)的な捉えられ方もあるようで、それも女性人気を後押ししているのかもしれません」
こんな人気の勢いもあり、10月17日からは、ドラマ『日本統一北海道編』(北海道文化放送)で、地上波にカチコミ中なのだ。
作品のイメージから“芸能界最強”とうたわれる本宮だが、実際のところどうなのか。
「ケンカなんかしないですよーー人前では(笑)。多分、格闘技塾をやっているので、そんな噂が出たんでしょうね。乱暴で怖い人という印象があるようだから、人前で普通の対応をするだけで、実際以上に優しい人だと思われています」
と、プライベートでは立派なカタギ。妻でタレントの松本明子(56)からは「じつはお酒は飲めず、甘党」と、作品のイメージを覆すファンシーな一面を暴露されることもあった。
「甘いものは好きですね。
■家では、妻がずっとしゃべっている
スイーツ男子な側面がある一方、家庭では作中同様“氷室”のように寡黙なのだという。
「というか、大事な連絡事項以外はしゃべりませんね。『うん』も言わず、うなずきもしなくても、向こう(松本)がずっとしゃべっているので(笑)。家ではボクが語りかけるのはトイプードルくらい。
夫婦で食事に行ったことは、1回もないですね。いまさら『ちょっと食べに行こうか』と誘ったら、相当やましいことがあるって疑われそうじゃないですか」
子どもが大学に進学して以来、家族旅行にも外食にも行かず、家事もしないため「多分、最低の夫」と自認している本宮。それでも結婚24年、夫婦ゲンカがほとんどなかったのは、妻の言うことに反対しないから。
「妻はとにかく信念があって、決意したらやり遂げる人なので。新たに始めたキャンピングカーのレンタル事業についても、ボクは何も言ってません。言ってやめる人じゃないし、仮に失敗したときに『ほらね』と言うのも嫌じゃないですか。命に関わること以外で口出しすることはないんですよ」
しかし、そんな本宮も一度だけ妻の松本に対して“口出し”したことがあるという。
「彼女、自分のものは買いませんが、人へのプレゼントには惜しみないんです。100人以上のスタッフや出演者にプレゼントを贈る際に、選んでいる商品があまりに高価すぎたときは“やべえな”と別のものをすすめたことがありますね」
松本といえば「義母と下着を共有している」「息子が着なくなった服を着ている」「夏はゴーヤを栽培してツタでカーテンを作るため、毎食、ゴーヤ料理」と語るほどの節約マニアだが――。
「……ゴーヤは確かに出ますが、野菜は嫌いなんで……。でも、基本的に妻は節約を家族に強要したりはしません。ただ、ものが捨てられない人なので、いつもボクが代わりに処分しています。見つかると必ずゴミ箱から出してしまうので、捨てるときはこっそりと」
本宮が松本の行動を黙って見守るように、松本も本宮の行動に口出しすることはないという。大雨のなか、本宮がロケ先に車で向かったときのこと。
「深夜に山道を走っていると、雨水が激しい流れになっていて。なんとかロケ地にはたどり着いたのですが、バンパーが外れて流されたりしていて、結果的に新車を廃車にしてしまったんです。それでも妻からは何も言われませんでした。気づかなかっただけの可能性もありますが……(笑)。
撮影に入ると、妻よりも小沢(仁志)さんといる時間のほうが長くなることもしばしば。
本宮が創り上げてきた『日本統一』は、主婦のストレス発散にもおすすめの作品だとか。
「描かれているのは任俠の世界でも、いい人・嫌な人がいて、近所付き合いや職場の人間関係に置き換えられます。嫌なやつはだいたいひどい目にあわせていますので、スッキリしますよ。キャラクターは各種取りそろえているのできっと“推し”が見つかるはずです」
“任俠の世界”に入門する、またとないチャンス!