「まさか歌が歌えるなんて思いもしなかった。温かい皆さまが応援してくださったおかげで今の私がいると思っています」
こう語ったのは、堀ちえみ(55)。
’19年2月、ステージ4の舌がんであるとの宣告を受けてから3年、病との闘いを懸命に生き抜いてきた。
「堀さんは’82年にアイドル歌手としてデビューし、’87年に引退を発表。そして’89年に芸能活動を再開しました。以降もコンサートを行い、堀さんはコンサートのことを『アイドルに戻る場所』というほど大切にしていました。
ところがデビュー35周年を迎えた際、若い頃のように歌えない自分に愕然。そのタイミングで舌がんが判明し、絶望的な気持ちになったといいます」(音楽関係者)
堀は’19年2月、都内の病院で舌がんの手術を受けた。頸部リンパ節と舌の6割を切除し、太ももの組織を移植する11時間にも及ぶ大手術を終えた堀だったが、その直後に再び悲劇が襲い掛かる。食道がんも見つかったのだ。
その当時について、堀は同年10月の『ノンストップ!』(フジテレビ系)で「舌がんの時より精神的に参ってしまいました」と告白。また’21年8月に「CHANTO WEB」で公開されたインタビューでは《最近は緩和治療も発展しています。
■「思いを伝えたい、歌いたい」という気持ちはむしろ強くなった
苦しい日々を送るうちに、家族に対してやり場のない思いをぶつけることもあったようだ。今年10月5日、「婦人公論.jp」にアップされたインタビューでこう述べている。
《明るく振舞ってくれる家族の言動に傷つき、「もっと私の気持ちに寄り添って、いたわってくれてもいいのに」と不満に思うこともありました》
しかし、こうも続けている。
《ある日、夫から「きみは『あなたたちにがん患者の気持ちはわからない』と言うけど、きみはがん患者の家族の気持ちはわからないでしょ?」と言われたのです。本当にそのとおりだと思いました》
堀からの反発を受けても家族は支え続けたのだ。
「食道がんがわかって落ち込む堀さんに、旦那さんは『早く見つかってよかった』と声をかけてくれたといいます。旦那さんとは闘病生活のなかでぶつかることもありましたが、今では旦那さんが『難病のデパートみたい』と冗談でいうほど、お互い信頼し合っているそうです。
また堀さんは、娘さんにも救われたといいます。堀さんは手術で舌を切除したため、以前のように喋ることはできません。『歌うことなんて到底無理』と思い、今回のデビュー40周年記念ライブも諦めていました。
ところが『ライブするって約束したでしょ?』と娘さんがいってくれたことで、堀さんはやる気がみなぎったといいます。
家族に支えられ、苦難を乗り越えてきた堀。今年3月、がんが判明した3年前を回想し《あの頃の私はもういない。そして術後すぐの、もがき苦しんだ日々を過ごしていた私も、もういない》とブログに綴っている。
そんな堀は、昨年6月に発売された絵本「10のことば」の付属CDで朗読にチャレンジ。発売に際し、《言葉を失いかけて、「言葉の大切さ」を痛感しました》とコメントしていた。
さらに今年3月、「サンキュ!」で配信された記事では《病気を経験して失った物はあるけれど、「思いを伝えたい、歌いたい」という気持ちはむしろ強くなった気がします》と”歌への思い“を明かしている。
ライブ当日、堀の歌声は多くの観客を魅了するはずだ。