今、白湯に熱い視線が注がれている。コンビニやスーパーで、ホット用飲料の棚にペットボトルの「白湯」が並ぶのを目にした人もいるだろう。
「アサヒ おいしい水 天然水 白湯」を’22年11月から発売しているアサヒ飲料の開発担当者は言う。
「白湯の飲用経験率は年々増加していて、’09年の11.8%から’22年には61.0%と約5倍にもなっています。そのような白湯の需要の増加と、『飲みたいときに買えない』といったお客さまの声が多く寄せられたことで商品化に至りました」
同社のリサーチでは「冷え対策」や「体によさそう」なイメージで、女性が多く飲用しているそう。
「白湯を習慣的に飲むことにより、全身を温めるだけでなく、便秘や、だるさの解消、美肌など多くの効果が期待できるんです」
こう話すのは、コンフィアンサ せき鍼灸院(東京)のセラピストで看護師の市野さおりさん。
「白湯は、ただ温めただけのお湯のことではありません。10分ほど煮沸してカルキなどの不純物を抜き、55~65度という適温にした状態が『白湯』と呼ばれています」
その白湯を毎日朝から数回に分けて飲む習慣をつけることで、さまざまな効果が期待できるという。
【便秘解消】
「朝飲むことで大腸に水分がたどり着き、温かさもプラスして『腸蠕動』が起きます。それが『便秘解消』にもつながります」
【美肌効果】
「白湯は不純物が取り除かれているので腎臓にあまり負担をかけず、腸壁から吸収されやすいので、体の隅々まで行きわたります。それによって、皮膚にハリが出て、『美肌効果』につながるんです」
【疲労解消・むくみ解消】
各臓器や細胞間の古い水分との入れ替えをスムーズにしてくれるため「『疲労解消』『むくみ軽減』も期待できる」と市野さん。
■55~65度の適温で飲むと花粉症も軽減
【冷え性の改善】
「内臓が温まれば血液が温まります。しかも純度の高い白湯は体が取り込みやすい。きれいな血液が末梢の血管に行きわたり、硬い血管も軟らかくしてくれるので、『冷え性の改善』が期待できます」
【花粉症】
「血液がドロドロしていると、目、鼻、口の粘膜は花粉などの異物に対して、異常に反応してしまいます。
なんと、白湯を飲む習慣をつけるだけで、便秘解消、美肌効果、疲労解消、むくみ軽減、冷え性改善、そして花粉症軽減……日ごろの悩みを解消してくれそう。期待大!
でも、煮沸時間や適温、飲む回数など、けっこう難しそう……。
「大丈夫! 台所で食事を支度する合間に簡単に作れますし、一日数回に分けて飲むといっても、自分に合ったスタイルで飲めます」
【白湯の正しい作り方】
用意するのは浄水器を通した水道水800~1200ミリリットルとやかん、温度計に陶器かガラスのコップ。
(1)やかんで10分、中火で沸騰させる。湯面がポコポコと盛り上がる感じで。湯気は出したほうがいいのでふたを開ける。
(2)ふつうの温度計でいいので、55~65度を一度測って飲む。耐熱ガラスがいいが、陶器なら新しいものを専用におろして、白湯専用の器に。
「忘れないように10分タイマーをかけましょう。火を止めたら少し冷めるのを待ちます」
飲み方は、ゆっくり時間をかけて。
「朝食前には200~250ミリリットル、それ以後は10時、15時などおやつの時間も含め100~180ミリリットルずつ、夜寝るまでに何回かに分けて飲みましょう」
55~65度の適温は、最初に湯温を測って口に含んだときやガラスコップを手で持ったときの温度を「体感として覚えるといいですね」と市野さん。煮沸した時点で電気ポットや保温ボトルに入れておくと、2回目以降に便利だ。
また、冷めたらレンチンも可。
「ただしふたをして温めてください。ほかの料理のニオイがつくと白湯をおいしく飲めません」
というのは、白湯は不純物などが取り除かれたきれいなお湯のため、口に含むと「甘味」が感じられて、すごくおいしい。半面、白湯を飲み慣れると、ほかの飲食物の臭みが「すぐにわかる」そう。
■スパイスをプラスしてさらなる効果も期待
市野さんは最後に、白湯の「+α」の飲み方を教えてくれた。
「あらびきブラックペッパーやクミンを使って『スパイス白湯』を飲んでみましょう。便秘や下痢の解消に即効性が期待できます」
【特定の症状を和らげる“白湯+スパイス”とつくり方】
〈+ブラックペッパー〉:下痢、腹痛、ガス腹
〈+クミン〉:便秘
〈+七味唐辛子〉:片頭痛、二日酔い
〈+月桂樹〉:むくみ、不眠、頻尿、気持ちの落ち込み、咳
100円ショップで手に入る調味料でOKで、100ミリリットルの熱湯に2振りして、ふたをして3~5分蒸らす。スパイスの色で、ちょっとお湯が色づいたところで飲んでみよう。月桂樹は外に出すが、2~3杯飲める。
ただし、白湯の飲用に注意が必要な人も。
「脳機能障害や脳血管疾患などで飲水制限されている」場合や、「薬をたくさん飲んでいる人」は、不安があればかかりつけ医に相談しよう。
「10時とか15時とかおやつの時間に白湯を飲むと、甘さ、おいしさがわかり、体に染みわたる感覚もわかります。
2月初めにかけ、強い寒気に見舞われそうな日本列島。白湯を楽しく飲んで、心も体も温めよう!