東京都内で高齢の女性が殺害されるなど、凶悪な強盗事件が多発中だ。犯罪者が“ターゲット”にする家には特徴があるという。

自宅や実家に該当する項目はないか点検しよう。

「特殊詐欺のなかで最も多い『オレオレ詐欺』は、金融機関などでの注意喚起が浸透して高齢者が騙されにくくなったため、犯罪者グループは“家に金品を盗りにいく”という、より直接的な犯行におよぶようになりました」

こう話すのは防犯アドバイザーの京師美佳さん。

全国で強盗事件が相次ぐなか、狙われやすい家の特徴を教えてもらった。

【1】ブロック塀が高い

死角ができて敷地内の様子が周囲の人に気づかれにくく、犯人にとっては好都合。

対策:敷地内が見えるような隙間のある柵に替える。犯人がよじ登れないよう2m以上の見通しのいい柵だとなおよい。

【2】表札やガスメーターにマークがある

W=女性、M=男性、〇=入りやすいなど、強盗犯や悪徳業者が下見で得た情報を記録したり、仲間に共有するためのマークが書かれていることがある。表札、ガスメーター、ポストなどに多く、シールが貼ってある場合も。

マークの例:WS10-20=女性一人暮らしで10時から20時が不在。8-16〇=8時から16時まで不在で侵入しやすい。

対策:マークが書かれていたり、シールが貼られていた場合はすぐに消したり、はがすようにする。

【3】車庫にシャッターがない

道路との境目がない車庫は心理的に侵入しやすくなってしまう。

対策:ロープやチェーンを1本張ると、それを乗り越えるための心理的ハードルが上がる。外出時に車庫が空っぽになる場合は、自転車を車庫の真ん中において不在を知られないようにする。

【4】ポストに郵便物がたまっている

ポストにたまった郵便物やチラシなどで留守宅と判断されてしまう。

対策:長期間家を留守にするときには、郵便局に不在届を出して郵便を一時的にストップさせる。

【5】玄関に高価なモノが置いてある

にせ配達員や悪徳セールスマンが下見に来たときに、お金を持っていると判断され危険が高まる。

対策:高価なモノは玄関付近に置かないようにする。

【6】窓の近くに足場がある

警察庁のデータによると住宅窃盗では窓からの侵入が6割以上。足場があると踏み台にされて侵入しやすくなってしまう。

対策:足場になるものは置かない。花壇などを作って侵入しづらくするとなおよい。

【7】風呂窓に格子がある

一般的な格子窓はネジを緩めるだけで簡単に外れてしまう。格子があるからと油断して窓を開けておくのは危険。

対策:防犯性の実証実験済みの“CPマークつき”製品に交換したり、格子のネジ穴にボンドを入れて簡単に外せないようにする。

【8】庭や玄関にライトがなく暗い

ライトがなく庭が暗い家は、侵入しても顔を見られるリスクが低く忍び込みやすい。

対策:強盗犯は明るいところを嫌うため、人感センサーつきライトや、ガーデンライトを設置して明るくすることが重要。

【9】庭に枯れ葉だらけ

雑草や枯れ葉などで庭が荒れていると、居住者のずぼらな面が見え、防犯意識が低いと判断される。落ち葉やゴミを置いてマーキングされてしまうことも。

対策:庭を掃除してキレイに保つ。花の鉢植えや犬の置物を置いて、通行人の目を引くようにするのも効果的。

■外出時に照明を消す人も要注意

【10】外出時に照明が消えている

家を留守にしていることや生活パターンを知られてしまう原因に。

対策:不在時でも、時間に合わせて明かりがつくタイマー機能つきの照明を設置する。

さらに、「古い家」も要注意だという。

「築25年以上の家は建具が脆くて壊しやすく、高齢者が住んでいるとも思われがちです」(京師さん・以下同)

さらに「違法駐車を見逃す」ことも危険だと京師さん。

「自宅付近の違法駐車が見過ごされているということは、不審者がうろついていても警察に通報しない可能性が高いと犯行グループは考えるのです」

強盗犯を遠ざけるには「犯罪者が嫌う4原則」が重要だという。

「音、光、時間、そして人の目を集めることを意識しましょう。アラーム(音)やセンサーライト(光)は効果大。

また、犯人は5分以上要する侵入を嫌うので、補助錠などでドアや窓など開口部を強化し、玄関や窓、ベランダなど守りたい場所にキレイな花を飾って、日ごろから人目を集める工夫も、被害を防ぐことにつながります」

なかでも安価で手っ取り早い対策が「防犯ステッカー」だ。

「嘘でもいいので『防犯カメラ作動中』などのステッカーを貼ることで、犯行グループは『防犯意識が高い家』と警戒します。加えてダミーでも防犯カメラを設置すれば、より防犯効果が高まります」

昨今の強盗事件では、犯人が宅配便の配達員を装うケースも多い。事前に盗んだ情報から、被害者の知人を差出人とした送り状を用意するなど、手の込んだ犯行も――。

「宅配は常にインターホン越しに対応しましょう。宅配ボックスを用意して、在宅中でも置き配にするなど、とにかく安易に玄関ドアを開けないことが肝要です」

強盗犯に狙われない家づくりを意識して、家族の身を守ろう。

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