「痩せ体質になりたい、足のむくみやダルさを解消したい、代謝を上げて腰痛や肩こりを改善したい……私の整体院にも、そんな悩みをお持ちの患者さんが大勢みえます。そんな方たちにはリンパ流しマッサージをおすすめしています」

こう話すのは、整体師のとも先生こと木下智博さん。

YouTubeチャンネル「ストレッチ整体師とも先生」の登録者数は23万人超。配信中の動画のなかでも、リンパ流しマッサージの施術の仕方を紹介した動画は「圧倒的に再生回数が多い」という。

木下さんはリンパ流しマッサージの効果を次のように解説する。

「リンパの流れをよくすることで老廃物や疲労物質が排出され、腰や肩が楽になりますし、余分な水分を出すことでむくみの解消にもつながります。また、このマッサージは簡単に筋肉も動かしていくことから、リンパの流れを改善すると同時に、中性脂肪値を下げる効果も期待できます」(木下さん・以下同)

リンパ流しマッサージには、免疫機能を上げる効果もあるという。

「リンパの流れをよくすると、アルブミンというタンパク質の濃度が高くなります。

アルブミンの濃度に比例してリンパ節から出ていくナチュラルキラー細胞の量も増えるので、体内に侵入した外敵をたたいて私たちの体を守ってくれるという理屈です」

■寝たままでも効果抜群の全身リンパ流し4

いいことずくめのリンパ流し。今回は入門編として、木下さんが推奨する誰でも寝たまま簡単にできる4つのマッサージ法を紹介。

【1】鎖骨流し(左右20秒ずつ)

あおむけになり、ピースサインの2本指で鎖骨を挟み、イタ気持ちいい力でさする。

「リンパの“元栓”にあたるのが、じつは鎖骨の部分なんです」

木下さんによれば、全身をめぐったリンパは、最終的に鎖骨下静脈から吸収されていくという。

「右の鎖骨下静脈には、右腕と頭部右側からリンパが流れ込みますが、左の鎖骨下静脈にはそれ以外の全身のリンパが流れ込んでいます。ですから、鎖骨部分をしっかりほぐしてリンパの流れを改善することで、全身に好影響が期待できます。

まず最初にこのマッサージをおすすめしますね」

強さに関しては、優しい力で十分とのこと。

「リンパは多くのみなさんが思っている以上に、浅いところを流れているので、グッと力を入れて押し込む必要はありません」

【2】脇つかみ(左右20秒ずつ)

あおむけになり、リラックス。大きな胸の筋肉である大胸筋の縁を片方の手でつかみながら、もう一方の腕のひじを真っすぐに伸ばしたまま、バンザイをするように上下に動かす。

「肩こり解消などの効果が期待できるのが、脇のリンパ、腋窩リンパ節をほぐすマッサージです。これも、力を入れる必要はありません。肩に痛みがある人は、無理のない範囲で腕を動かしてください。

力を抜いて、リラックスして行うことが肝要です」

【3】そけい部さすり(左右同時に20秒)

あおむけの状態で立てた膝を開き、手刀で往年のギャグ「コマネチ!」の要領で左右のそけい部をさする。

「股関節まわりをほぐすことも重要です。とくにそけい部にはたくさんのリンパが流れています。また、太い動脈も走っています。そけい部を刺激しコリをほぐすことで、代謝が上がることも期待できます」

強さに関しては、イタ気持ちいい力で。

「膝を伸ばしたままだと、股関節はなかなか緩んでくれませんから、膝は曲げた状態で行うこと。

そのうえで、左右のそけい部を手刀で優しくさすります。『コマネチ!』って言いながらでもいいですよ(笑)」

【4】膝裏トントン(左右20秒ずつ)

あおむけで両膝を立て、足を組むように片方の膝裏をもう片方の膝の上にのせる。のせた足を上下に曲げ伸ばしする。

「そけい部の流れが改善したら、さらに膝裏をほぐします。膝窩リンパ節をやわらげ流してあげることで、足のむくみを解消します。膝裏のリンパを、足の自重と、もう片方の膝を使ってトントントンとリズミカルに圧迫、解放を繰り返しましょう」

■心地よい強さと正しい呼吸でさらに効果アップ

すべてのマッサージで重要なのは「リラックスして行うこと」と木下さん。

「余計な力を入れないことです。さするときも、イタ気持ちいいぐらいの力加減で。強い痛みを与えることは逆効果です。呼吸も大事。深くて正しい呼吸をすることでも、リンパの循環はよくなります。胸が大きく開き、胸腔が陰圧になることで、リンパが吸い上げられるのです」

4種類、全部やっても3分以内。

あなたも、このお手軽なリンパ流しマッサージで、老廃物をドバドバ排出、体の不調を改善しよう。

【PROFILE】

木下智博

整体師で、YouTubeチャンネル「ストレッチ整体師とも先生」は23万人超の登録者数。近著に『「バナナ腰」を治せば、体の不調が消える!』がある