「痩せ体質になりたい、足のむくみやダルさを解消したい、代謝を上げて腰痛や肩こりを改善したい……私の整体院にも、そんな悩みをお持ちの患者さんが大勢みえます。そんな方たちにはリンパ流しマッサージをおすすめしています」
こう話すのは、整体師のとも先生こと木下智博さん。
木下さんはリンパ流しマッサージの効果を次のように解説する。
「リンパの流れをよくすることで老廃物や疲労物質が排出され、腰や肩が楽になりますし、余分な水分を出すことでむくみの解消にもつながります。また、このマッサージは簡単に筋肉も動かしていくことから、リンパの流れを改善すると同時に、中性脂肪値を下げる効果も期待できます」(木下さん・以下同)
リンパ流しマッサージには、免疫機能を上げる効果もあるという。
「リンパの流れをよくすると、アルブミンというタンパク質の濃度が高くなります。
■寝たままでも効果抜群の全身リンパ流し4
いいことずくめのリンパ流し。今回は入門編として、木下さんが推奨する誰でも寝たまま簡単にできる4つのマッサージ法を紹介。
【1】鎖骨流し(左右20秒ずつ)
あおむけになり、ピースサインの2本指で鎖骨を挟み、イタ気持ちいい力でさする。
「リンパの“元栓”にあたるのが、じつは鎖骨の部分なんです」
木下さんによれば、全身をめぐったリンパは、最終的に鎖骨下静脈から吸収されていくという。
「右の鎖骨下静脈には、右腕と頭部右側からリンパが流れ込みますが、左の鎖骨下静脈にはそれ以外の全身のリンパが流れ込んでいます。ですから、鎖骨部分をしっかりほぐしてリンパの流れを改善することで、全身に好影響が期待できます。
強さに関しては、優しい力で十分とのこと。
「リンパは多くのみなさんが思っている以上に、浅いところを流れているので、グッと力を入れて押し込む必要はありません」
【2】脇つかみ(左右20秒ずつ)
あおむけになり、リラックス。大きな胸の筋肉である大胸筋の縁を片方の手でつかみながら、もう一方の腕のひじを真っすぐに伸ばしたまま、バンザイをするように上下に動かす。
「肩こり解消などの効果が期待できるのが、脇のリンパ、腋窩リンパ節をほぐすマッサージです。これも、力を入れる必要はありません。肩に痛みがある人は、無理のない範囲で腕を動かしてください。
【3】そけい部さすり(左右同時に20秒)
あおむけの状態で立てた膝を開き、手刀で往年のギャグ「コマネチ!」の要領で左右のそけい部をさする。
「股関節まわりをほぐすことも重要です。とくにそけい部にはたくさんのリンパが流れています。また、太い動脈も走っています。そけい部を刺激しコリをほぐすことで、代謝が上がることも期待できます」
強さに関しては、イタ気持ちいい力で。
「膝を伸ばしたままだと、股関節はなかなか緩んでくれませんから、膝は曲げた状態で行うこと。
【4】膝裏トントン(左右20秒ずつ)
あおむけで両膝を立て、足を組むように片方の膝裏をもう片方の膝の上にのせる。のせた足を上下に曲げ伸ばしする。
「そけい部の流れが改善したら、さらに膝裏をほぐします。膝窩リンパ節をやわらげ流してあげることで、足のむくみを解消します。膝裏のリンパを、足の自重と、もう片方の膝を使ってトントントンとリズミカルに圧迫、解放を繰り返しましょう」
■心地よい強さと正しい呼吸でさらに効果アップ
すべてのマッサージで重要なのは「リラックスして行うこと」と木下さん。
「余計な力を入れないことです。さするときも、イタ気持ちいいぐらいの力加減で。強い痛みを与えることは逆効果です。呼吸も大事。深くて正しい呼吸をすることでも、リンパの循環はよくなります。胸が大きく開き、胸腔が陰圧になることで、リンパが吸い上げられるのです」
4種類、全部やっても3分以内。
【PROFILE】
木下智博
整体師で、YouTubeチャンネル「ストレッチ整体師とも先生」は23万人超の登録者数。近著に『「バナナ腰」を治せば、体の不調が消える!』がある