キャップにカーゴパンツというカジュアルな服装で歩いていたのは役所広司(67)。連れだっていたのは4歳年上の妻・さえ子さん。
本誌が夫妻を目撃したのは5月上旬。さえ子さんは役所の事務所の代表取締役も務めている。さえ子さんが所用を済ませている間、役所は車の中で待っていた。
「役所さんが河津左衛子として女優活動をしていた奥さんと結婚したのは’82年。結婚して1週間後に、大河ドラマ『徳川家康』の織田信長役のオファーがあったそうで、役所さんにとってはまさに“幸運の女神”なのです」(舞台関係者)
神社での挙式費用は5千円、新居は6畳1間家賃3万円でスタートした結婚生活だったが、役所はいまや日本を代表する名優となり、“芸能界の不動産王”とも呼ばれるようになった。
おもな不動産としては都内の高級住宅地に約290坪の土地と複数の家屋を所有しており、渋谷区には4階建ての自社ビルもある。
「少なく見積もっても、トータルで20億円の不動産資産ということになります」(不動産業者)
若手俳優たちからの人望も厚いようだ。
「映画『銀河鉄道の父』の完成披露試写会で、役作りのためダイエットしていた菅田将暉さんに対して、『差し入れでいただいた五平餅。ものすごくおいしかった』『(差し入れのカリントウも)食べてないの? かわいそう』と、イジっていたのです。信頼関係が築けているからこそのやりとりだと感じました」(前出・舞台関係者)
だが、役所と長年仕事をしているテレビ局関係者は別の感想を持ったという。
「役所さんが喜々として差し入れの話をしているので、少しだけ笑ってしまいました。
まず差し入れで言えば、番組制作に際して、ほかの俳優さんや女優さんからは、よく差し入れをしていただくのですが、役所さんからいただいた記憶はありません。また番組の打ち上げ代をもっていただくこともあるのですが、やはり役所さんから払っていただいたこともなく……。さらに言えば、地方のロケでいっしょに食事をした際も、私やほかのスタッフが支払っていたのです」
はからずも飛び出した意外な証言。ほかの仕事関係者にも取材をしてみたところーー。
「役所さんが“割り勘主義”だということは聞いたことがあります。業界の飲み会では、その場でいちばん格上の人が払うことが多いのです。役所さんより格上の人はそうそういませんが、役所さんがまとめて払うことはないとか。千代田区役所での勤務経験もあるからか、業界の古い慣習にはこだわっていないのかもしれません。
あれぐらいのベテラン大物俳優さんですと、駐車係や下足番に心づけを渡したりもしていますが、役所さんは気にしていないようですね」
■仕事関係者が聞いた名優の切実な本音
役所はオフの過ごし方もつつましやかだ。彼は関東近郊に“小屋”を持っているというが、インタビューでこう語っている。
《庭の葉っぱを掃除したり、焚き火をしたり。
こうした役所の倹約生活の陰には妻の方針もあるようだ。前出のテレビ局関係者によれば、
「あるとき『財布のヒモは妻に握られていて、自由に使える金がないんだ』と、しみじみ語っていたことがありました。
確かに、奥さんはとてもしっかりしている方です。担当マネージャーが、毎日夕方6時に、役所さんの一日の行動について奥さんに報告することが習慣になっているのです。そのなかにはどんな買い物をしたのかも含まれています。
’17年に役所さんがドラマ『陸王』に主演していたころ、役所さんが現場へ高価なお弁当などを差し入れたと報じられたことがありました。とても驚きましたが、15年ぶりの連ドラ主演という重要な作品でしたので、奥さんが差し入れを指示したのかもしれません。
奥さんの管理は体調面にも及んでいます。ある時期には、ロケ中にも肉にはいっさい手を付けず、魚だけを口にしていたこともありました」
結婚から41年、すでに67歳の役所だが、インタビューでは意気軒高だった。
《年を取ることを無駄にはできません。年齢を重ねたことで出る顔や首のシワも武器になる。(中略)だから頑張りますよ。
“幸運の女神”である妻と“無駄”を省きながら邁進する役所。70歳、80歳での名演にも期待できそうだ。