「投資は怖いという人も、ポイントが元手なら、投資を始めやすいでしょう」

そう話すのは110枚以上のクレジットカードを駆使するポイ活の達人、菊地崇仁さん。

最近「ポイント投資」に注目しているという。

ポイント投資とは、クレジットカード決済などでもらえるポイントで、投資信託や株などに投資すること。

ポイント投資を知っている人は66.8%認知が広がってきたが、実際に利用したことがある人は18.4%にとどまっている(2025年4月、MMD研究所)。

菊地さんは

「ポイントは“元々ないもの”として考えやすく、失敗しても怖くないと思う人が多いでしょう。初心者が投資を始めるきっかけとして最適です」

と話す。

投資初心者の中には、投資と聞くと大暴落で株券が紙切れになるリスクを想像する人もいるが……。

■まずは手軽に始められる「ポイント運用」から

「実際の投資で大暴落はめったに起こりません。それより、ポイントが失効してゼロになるほうがリスクです」(菊地さん、以下同)

また、ポイント投資であってもNISA口座が使えるため、売却時に利益が出ても非課税になる。

ポイントで買った投資信託を保有することで、さらにポイントがもらえる証券会社もある。

「なによりポイントを使って投資を体験してみると、『思ったより怖いものではない』と納得する人が多いと思います」

ひと口にポイント投資といっても、実際は2種類あるという。

「1つ目は『ポイント運用』です」

まず、安定運用を目指すバランス型や、より大きな利益を目指すアクティブ型などいくつかのコースから1つを選ぶ。

運用するポイントは、選んだ投資信託などと連動した値動きをとる。

ただし、ポイントのままの増減なので、解約して手元に戻るのはポイントだ。

「ポイント運用なら証券会社の口座を開設する必要がなく、投資コースも限定的で選びやすいので、今すぐにでも始められます」

ポイント運用に慣れたら、2つ目の『ポイント投資』に移行するとよいだろう。

ポイントを現金として扱うので、ポイントが原資でも現金で行う投資と同じ本物の投資商品から投資先を選べるのだ。

「ポイント投資を始めるには、証券会社の口座開設が必要です。ポイントごとに提携する証券会社が決まっていますので、注意してください」

ポイントは1pt=1円が多い。

投資信託などは100円から購入できるので、100ptあればOK。

100pt以上は1pt単位で投資できるのが一般的だ。

ただ、「期間限定ポイント」などはポイント投資に使えない証券会社が多い。

A子さんは3年前の2022年6月にたまっていた1万楽天ポイントで、「オルカン」と呼ばれる「eMAXIS Slim全世界株式」を購入してみた。「ポイントがたくさんあったのでお試しで」という軽い気持ちだったという。

それが思わぬ利益を生んだようだ。

A子さんは「最近ものすごく上がっていたので売却しました。元手の1万ptが1万5945円になっていたんです(NISA口座、手数料は考慮しない)」と3年間で6000円近く増えたことが信じられない様子だ。

■積立投資を始めたられっきとした投資家だ

「オルカンは、直近3年間の保有でリターンは年率16.26%。よい時期だったのでしょう。できすぎなくらいのよい成績です。

ただ仮に、今年1月にオルカンを買っていたら、トランプショックに見舞われ、直近6カ月保有のリターンはマイナス3.32%。元本割れを起こしています」

一度にまとまった資金で一括購入すると、株価の暴落や急上昇などの荒波を受けやすい。

暴落するとショックが大きいし、よい成績でも『もっと買っておけばよかった』と後悔が残る。

どんな買い方がいいのだろう。

「定期的に少額ずつ購入する積立投資がおすすめです」

定額の積立投資では、投資信託の購入単価が高いときは少量を、安いときは大量に購入することになる。

これが購入単価の平準化につながり、大暴落などのリスクを抑えられるというのだ。

「ポイントだけの投資でも、定期的に自動で積立投資ができる証券会社もたくさんあります」

たとえば楽天証券でポイント投資がしたい場合は、「楽天ポイントコース」を選択。

投資先を選び、投資するポイントの上限を設定する。

持っているポイントを「すべて使う」や「毎月の上限○○pt」などから選べばよい。

たとえば上限を500ptと設定すると、手持ちのポイントが500pt以上あれば500ptを、500ptなければある分だけを投資に回す。

こうした積立投資を始めたら、元手はポイントで月々数百円といった少額でも、れっきとした投資家デビューだ。

「少し慣れてポイントだけでは物足りなくなったら、現金と合わせての投資も可能です。

投資する現金がクレジットカード決済なら、証券口座に入金する手間もなく、忘れていても投資を続けられます」

ポイントは「いかにためるか」より「どう有効に使うか」を考えてほしいと菊地さんは言う。

絶対に避けたいポイントの失効対策にも有効だ。ポイントで欲しくもないプレゼントを手にするより、ポイント投資でお小遣い稼ぎを始めよう。

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