「ヌードじゃないけど、ピークは山口百恵さんだね。あの人はひとり何か違っていたよ」

こう語ったのは、写真家のレジェンド・加納典明氏(83)。

7月12日に公開されたフリーディレクター・三谷三四郎氏(38)が手がけるYouTubeチャンネル『街録ch~あなたの人生、教えて下さい~』に出演し、1980年10月に芸能界を引退した山口百恵さん(66)を撮影した当時を振り返った。

三谷氏から「いままで撮ってきた女性の中で、印象的な人はどんな人ですか?」と問われると、冒頭のように百恵さんの名前を挙げた加納氏。“ひとり何か違っていた”の理由について「言葉にならないんだよ、それが」とはにかみながら、「感覚の問題、感性の問題」とコメント。

続けて「これは他の女性に対してもそうだけど、言葉にならないところを俺は撮っていくわけだよ。言葉が終ってから、言葉がつけられないところ、そこを写真にしていくわけだよ。その実存感を」と、自らのスタイルについて語った。

昭和の時代から、数多くの女優やモデルを撮影してきた加納氏。1980年代に国民的アイドルとして人気を博した松田聖子(63)を「やっぱり可愛いし、歌は上手いし、やっぱり光ってたよ」と讃えつつも、「けど、百恵はもうひとつ違うもの、何かを持っていたのよ」とコメント。

「言葉で言うと簡単だけど、“何か”が大事なのよ。何かをどう感じるか、俺が。それをどうカメラでするか、そこは俺の技だよな」と語り、「それ撮りながら、俺も精神的にも実像的にもドタンバタンしながらというか、その対象(被写体)とのバトルだから。それは結局、自分とバトルしてるってことだから」と本気で向き合ってきたという。

三谷氏が百恵さんについて「あれだけ売れて、あの若さで自分から引退する人って、後にも先にもいなさそう」と言うと、加納氏は「いないよな」「ちょっともったいないよな、彼女の場合は」と惜しんでいた。

百恵さんの全盛時代に、畑正憲さん(享年87)が北海道に創設した「ムツゴロウ動物王国」で馬と一緒に横転し、負傷したことで釧路の病院に入院していたこともあった加納氏。当時、病室のテレビで見た百恵さんに「何かこの子違うぞ」「撮ってみたいなと(いう気持ちが)ムラムラと湧いてきて」と衝撃を受け、帰京を決断したという。

東京に戻ってからは「『百恵ちゃん撮れるようにしてくれよ』ということで、何度か撮ったんだよね」と、積極的に撮影の機会を掴んできたとのこと。そのなかのエピソードで、「あるとき撮影の途中で、『年賀状の写真一緒に撮っていいかい?』と言って、手をつないで。百恵と俺が手をつないでいるわけ、恋人同士みたいに」とツーショットで撮影した貴重な思い出を回想。

百恵さんが所属していた事務所もツーショット撮影を許可してくれたといい、「百恵と親しげに手をつないで、百恵が俺の方を見ているから。俺はあのとき、めばちこ(ものもらい)ができていて、眼帯か布を巻いていて。格好つけているわけじゃないんだけど、俺のなかではナンバーワンなんだけど、ピークだよ。俺の人生のなかで」と嬉しそうに振り返っていた。

本格的なヌード写真で一世を風靡し、“時代と寝た男”と称されることもある加納氏。“撮影した女優やモデルのほとんどと寝た”という都市伝説まであるが、動画では「そんな全部できるわけじゃないんだけど、まぁ何人かはあったよ。

そういうことも」とも明かしていた。

しかし、百恵さんはそうした関係になる存在ではなく、“別格”だったようだ。加納氏は「百恵とかは全然及びもつかないよ。もう三浦(友和)はいたし、『事と次第とでは』ってのは、俺は(頭の)隅っこにあったけど、全くそういうノリではなかったし、彼女はもっと上位にあったよ、本当に」と語り、百恵さんの前では“下心”さえも打ち砕かれてしまったという。

動画のコメント欄には、視聴者から《大好きな百恵ちゃんの話題が出て嬉しい》と反響も。百恵さんが引退してから今年で45年が経つが、加納氏にとっては色褪せない思い出として記憶に残っているのだろう。

編集部おすすめ