「声優事務所に入ったとき、マネージャーさんに『ゼロからのスタートなので厳しくしてください』とお願いしました。でも、それ以降はいっさい関わっていません。福嗣はオーディションを受けて、自力で役を勝ち取ったんです」
そう語るのは、元プロ野球選手で、中日ドラゴンズ元監督の落合博満さん(63)の妻・信子さん(73)。一人息子の福嗣くん(30)が'15年、声優になったことが報じられたが……。人気野球漫画『グラゼニ』を原作としたアニメで、なんと主演声優に抜擢されたのだ。
恐妻として知られる信子さんも、頬をほころばせる。だが、その笑顔の裏に、メディアでは伝えられなかった母と子の心の葛藤があった。
「毎日、記者がウチに詰めかけて、まわりは大人ばっかりでした。(福嗣が)3歳のとき、あの子はチック症になっちゃって。瞬きがパチパチと激しくなったから小児科に行くと『福嗣くんは大人のサイクルで生活をしている。サイクルが早すぎるので、広いところで伸び伸びと遊ばせてあげてください』と先生に言われました。だから、毎日近所の東山動物園(名古屋市)で朝の9時から閉園の午後4時半まで走り回らせたの。そうしたら、1週間で直りました。それからはこの子を伸び伸び育てないといけないと思って、好きなことをさせたわ」(信子さん・以下同)
男の子らしい腕白な行動や言動は、メディアで面白おかしく伝えられた。しかし、ふだんの福嗣くんは通学路で掃除している人に毎日、「いつもありがとうございます」と大きな声で挨拶するような優しい子だった。だが、そんな福嗣くんの優しさにつけこむような、壮絶ないじめもあった。