平安のまちを襲うのは疫病。しかし、お偉方は自分たちには害がない、下々の者が罹るだけ、と他人事だ。


奔走するのは道長、そして道兼。

しかし、奇しくも疫病が道長とまひろを引き合わせてしまう。

まひろは何も悪くない……

疫病の暗い影がひたひたと近づいている中、まひろ(吉高由里子)の心に影が落ちる。さわ(野村麻純)に突き放されたから。いや、こういう場合、突き放されたというか、絶交というやつなのか、なんなんだろう、仲違いとも少し違うような。

さわ曰く、私は家でいらない子だし、石山寺でもどうでもいい女だった、と。「蜻蛉日記」のときの話をしていたときも自分だけのけ者だった、と。


まひろが藤原寧子(財前直見)と「蜻蛉日記」で盛り上がっていたからなのか。それとも、「蜻蛉日記」に描かれた心情をまひろが分かる、と言ったからなのか(そんなこと言われても……という話だが)。

考えてみれば、まひろとさわはタイプが違う。おまけにさわは、まひろの父・為時(岸谷五朗)が世話をしていた女性の娘なわけで。そう考えると仲が良いのは不思議というか。

ケンカ別れとなってしまったさわに文を出し続けるまひろ。
まひろは悪くないのに、悪いのは道綱(上地雄輔)なのに。

それだけ、まひろにとってさわは大事な存在ということなのだろう。

またクセモノがひとり

「女って怖い……」ピュアな浮気を察した“34歳女優の笑顔”にゾゾゾ…すれ違う2人の恋の行方|NHK大河ドラマ『光る君へ』第16回
大河ドラマ『光る君へ』第16回(C)NHK
町では疫病による苦しみが広がっているが、内裏ではどこ吹く風。道隆(井浦新)にとっては疫病よりも、最近続いている内裏内での放火のほうが大問題だった。道長(柄本佑)が訴えても聞き入れようとしない。

一条天皇(塩野瑛久)も民を案じるが、道隆は貴族は疫病にかからないと決めつけている。確かに、屋敷も広いし、民より清潔さを保てるからそうかもしれないが、ならば同じことを民にすればいいのでは……とはならない道隆。
それよりも、早く皇子をもうけるべき、と一条天皇に進言する始末。皇子が生まれれば、関白家はますます繁栄する。結局は自分たちのことだけなのだ。

今回からは、伊周(三浦翔平)の弟・隆家(竜星涼)が登場。こちらもなんだかクセモノそうな、というかふてぶてしさもあるというか。伊周とはまた違うタイプだが……。


道兼、覚醒

「女って怖い……」ピュアな浮気を察した“34歳女優の笑顔”にゾゾゾ…すれ違う2人の恋の行方|NHK大河ドラマ『光る君へ』第16回
大河ドラマ『光る君へ』第16回(C)NHK
さわに文を送り続けているまひろ。そんなまひろのもとを訪ねてきたのはさわ、ではなく、まひろが文字を教えていたたね(竹澤咲子)だった。

両親が熱を出し、悲田院(今でいう救護施設)に薬草をもらいにいったまま帰ってこないのだという。たねと共に悲田院に向かうまひろだったが、すでにたねの両親は亡くなっていた。そしてたねも発熱。まひろが懸命に看病をしたが帰らぬ人となった。

それから、まひろは悲田院にやってきた子どもたちの看病を続けていたが、次々と亡くなっていく。
なにもかも不足しているようにしか見えない。そりゃあそうだ、上が何もしないのだから。

一方、そこに道兼(玉置玲央)がやってくる。悲田院に行こうとした道長を「汚れ役は自分の役目」と言って止めたのだ。結局、道長もやってきたわけだが、道兼が前回とは見違えるような表情に。父との鬱屈とした関係がなければ、道兼ももっと早くから政の才を発揮していたのだろうけれど……。


悲田院の状況に絶句する道兼と道長。

そしてここで出会ってしまう道長とまひろ。発熱し、もうろうとした状態のまひろと道長が偶然ぶつかったのだ。

しばし、見つめ合う2人だったが、まひろはそのまま意識を失う。道長の腕の中で。

ときめきしかないのだが……道長との再会

「女って怖い……」ピュアな浮気を察した“34歳女優の笑顔”にゾゾゾ…すれ違う2人の恋の行方|NHK大河ドラマ『光る君へ』第16回
大河ドラマ『光る君へ』第16回(C)NHK
まひろを抱き上げ、家まで送る道長。そのまま看病をする。為時らはもちろんびっくりである。自分たちよりもずっと位の高い道長が娘を抱いて帰ってきた上に、看病するというのだから。

ずっとまひろに語りかけながら看病をする道長。それは倫子(黒木華)にも明子(瀧内久美)にも見せない姿。愛というより、もっと深いところでつながっている。一緒に乗り越えてきたものが大きすぎる故だろう。

とは言え、特別な女性であることに変わりはない。道綱が石山寺で良い女と出会ったと、言いまひろの名を口にした途端に道長の表情が変わっていたが、もし夜這いが成功していたら道綱の命はどうなっていたことやら……。

それにしても、ここまでままならないものなのか、道長とまひろ……。

倫子の笑みが怖い

「女って怖い……」ピュアな浮気を察した“34歳女優の笑顔”にゾゾゾ…すれ違う2人の恋の行方|NHK大河ドラマ『光る君へ』第16回
NHK『光る君へ』第16回
一晩、家を空けた道長を迎える倫子。

道長の姿を見送り。恐ろしいことを口にする。

「殿のお心にはもうひとりの誰かがいるわ」

自分でも、明子でもないもうひとり。

そして、怒るでもなく、笑う。

この笑いがどういう意味なのかが分からなくて怖い。

もうひとりいるなら、道長の言動に合点がいくということか。倫子は鷹揚にしていても、自分とは文のやりとりをしていなかったのに、明子とはしていたのか、と気にしていた。周りが想像しているよりも、倫子は道長に強い想いを抱いているのでは?

そして、その相手がまひろだということもすぐに察するのでは……いや、もう察している?

「香炉峰の雪」についても触れなければと思っていたのだが、すっかり後半の展開に持っていかれてしまった……

<文/ふくだりょうこ>

「女って怖い……」ピュアな浮気を察した“34歳女優の笑顔”にゾゾゾ…すれ違う2人の恋の行方|NHK大河ドラマ『光る君へ』第16回
大河ドラマ『光る君へ』第16回(C)NHK


「女って怖い……」ピュアな浮気を察した“34歳女優の笑顔”にゾゾゾ…すれ違う2人の恋の行方|NHK大河ドラマ『光る君へ』第16回
大河ドラマ『光る君へ』第16回(C)NHK


「女って怖い……」ピュアな浮気を察した“34歳女優の笑顔”にゾゾゾ…すれ違う2人の恋の行方|NHK大河ドラマ『光る君へ』第16回
大河ドラマ『光る君へ』第16回(C)NHK


「女って怖い……」ピュアな浮気を察した“34歳女優の笑顔”にゾゾゾ…すれ違う2人の恋の行方|NHK大河ドラマ『光る君へ』第16回
大河ドラマ『光る君へ』第16回(C)NHK


「女って怖い……」ピュアな浮気を察した“34歳女優の笑顔”にゾゾゾ…すれ違う2人の恋の行方|NHK大河ドラマ『光る君へ』第16回
NHK『光る君へ』第16回


「女って怖い……」ピュアな浮気を察した“34歳女優の笑顔”にゾゾゾ…すれ違う2人の恋の行方|NHK大河ドラマ『光る君へ』第16回
NHK『光る君へ』第16回


「女って怖い……」ピュアな浮気を察した“34歳女優の笑顔”にゾゾゾ…すれ違う2人の恋の行方|NHK大河ドラマ『光る君へ』第16回
NHK『光る君へ』第16回


「女って怖い……」ピュアな浮気を察した“34歳女優の笑顔”にゾゾゾ…すれ違う2人の恋の行方|NHK大河ドラマ『光る君へ』第16回
NHK『光る君へ』第16回


「女って怖い……」ピュアな浮気を察した“34歳女優の笑顔”にゾゾゾ…すれ違う2人の恋の行方|NHK大河ドラマ『光る君へ』第16回
NHK『光る君へ』第16回


【ふくだりょうこ】
大阪府出身。大学卒業後、ゲームシナリオの執筆を中心にフリーのライターとして活動。たれ耳のうさぎと暮らしている。好きなものはお酒と読書とライブ