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皆さんの周りには、特定のことに異常にこだわり執着する人物はいませんか? 本人には悪気がなくても、度が過ぎるといい気分にはなれません。今回は、恋人の強い食へのこだわりに幻滅し、破局してしまったエピソードを紹介します。
「サラダを取り分けてくれる」彼との出会い
今回お話を聞いたのは、会社員の沙織さん(仮名・30歳)。沙織さんには、Kさんという1つ年上の彼氏がいます。Kさんとの出会いは1年前で、共通の友人に誘われた飲み会だったそう。「Kさんはトングを使い丁寧にサラダを取り分けるような気配りのできる人でした。以前の彼氏はデリカシーのないガサツな人だったんですが、Kさんは正反対で、それがとても魅力的に見えました」
Kさんも沙織さんが好みのタイプであり、二人は共通の趣味である美術館巡りがきっかけでデートを重ねて付き合うことになりました。
料理下手な彼女のもてなし料理
やがて二人は互いの通勤に便利な沙織さん宅で同棲をはじめることになりました。Kさんが引っ越してきた当日、沙織さんは彼女なりに腕を振るった料理でもてなしたそうです。
この日もKさんがいつも通り料理を取り分けてくれ、沙織さんは満足していました。
「でも、実は私、かなりの面倒くさがり屋だし、料理も苦手なんですよね…。料理には、レトルトや料理の素がほとんどなんです」
と少し恥ずかしそうに教えてくれた沙織さん。実は、その日の料理も市販の中華料理の素に加えサラダを添えた時短レシピだったそう。
彼の突然のサラダ奉行に困惑
食事も中盤に差し掛かったころ。沙織さんはKさんが待つ食卓に追加の料理を運びました。
実はそうではなく、Kさんはその市販のドレッシングは体によくない、サラダを取り皿にシェアするのにはトングを使うことがマナーだと言い始めたのです。
とまらない彼のサラダ愛
沙織さんはKさんの言動をすぐには飲み込めなかったものの、なんとなく嫌な予感がしました。それと同時に今までKさんがトングを使って親切にサラダをシェアしていた理由も分かり、ついさっきまでルンルンだった気持ちが一挙にどこかへ行ってしまったそうです。「ただ呆然とサラダボウルを見つめる私をよそに、Kさんが自分の独壇場といわんばかりにサラダ愛を語っていたのを覚えています…」
LINEで正直な気持ちを伝える
その後なんとなく食事は終わり、沙織さんはアイスクリームを買うという口実で近所のコンビニへと出かけたそうです。一人で外に出た沙織さんはLINEで正直な気持ちを送りました。「『ただ楽しく二人で食事したかっただけなのに、あなたのせいで台無しだよ。もう無理』…ってあの時思ったことをそのまま送っちゃいました。自分でもこれほど急に相手への気持ちが冷めるものだと驚きましたよ」
ドレッシングの作り方が送られてきた

「その週末、Kさんから引っ越し完了のメッセージが届いたんですが…。そのメッセージに、自家製ドレッシングの作り方まで書いてあったんです。ありがとう、とは返しましたが、私の決断は間違っていなかったんだなと確信しました」
こだわること自体は決して悪いことではありませんが、そのこだわりもほどほどがいいかもしれませんね。
<文/大杉沙樹>
【大杉沙樹】
わんぱく2児の母親というお仕事と、ライターを掛け持ちするアラフォー女子。