ファミレスはコスパが悪いのか?

「ファミレスはコスパ悪い説」に待った!値上げ後のデニーズで見...の画像はこちら >>
 食文化研究家のスギアカツキです。『食は人生を幸せにする』をモットーに、食トレンド、スーパーマーケットやスタバ、ダイエットフード、食育などの情報を“食の専門家”として日々発信しています。


 2025年6月18日、デニーズが約3割のメニューを値上げすると発表しました。値上げは30~50円ほどで、この一斉値上げをどう感じるかは人それぞれではあるものの、「ファミレスは高すぎる」という声がX上で頻繁に見られるように。

デニーズは高いだけのファミレスじゃない

「ファミレスはコスパ悪い説」に待った!値上げ後のデニーズで見つけた衝撃の“1496円坦々麺”
「BEEFハンバーグステーキ[約200g]~選べるソース」は、ライスを付けると1727円になる
 確かに「BEEFハンバーグステーキ[約200g]~選べるソース」はライスを付けると1727円、季節限定の「フレッシュマンゴーのザ・サンデー」は2134円という価格に。うーん、決して安くはありません!

 しかしながら冷静かつ客観的に、デニーズのメニューを見渡していろいろ実食していくと、デニーズは高いだけのレストランチェーンではなく、上手に使いこなせれば、心を満たす食事を楽しむことができるのではないかと感じるように……。

 そうです、結論から申し上げれば、デニーズにはまだまだお得なメニューがあり、他店では味わえないようなプロの味を堪能できるということ。一体どんなものがあるのかご紹介をしていきますので、最新デニーズを評価するきっかけにしていただければ嬉しく思います。

「専門店のケーキよりも安い!」と捉えることも

「ファミレスはコスパ悪い説」に待った!値上げ後のデニーズで見つけた衝撃の“1496円坦々麺”
デニーズの看板メニュー「キャラメルハニーパンケーキ」は、2枚で528円。カフェで食べたらいくらになる?
 はじめにコスパの良さを維持しているのが、25年もの間デニーズの看板スイーツになっている「キャラメルハニーパンケーキ(通称キャラパン)」。価格は2枚で528円、3枚で638円です。

 国産小麦100%を使用したもっちり食感のパンケーキで、注文が入ってから店内の厨房で1枚1枚焼き上げて提供されます。

 物価高騰が続く今、カフェでパンケーキを食べようとすると1000円は当たり前で、有名専門店の生ケーキは700~800円という時代に。この状況をふまえれば、キャラパンは比較的良心的と捉えることができませんか?

 さらにパンケーキメニューのコスパ力を実感したのが、新商品の「タワーパンケーキ~国産小麦粉きたほなみ使用」。こだわりのパンケーキを溶かしバターをしのばせながら8枚も重ねて、ぽってりとしたメープルホイップがたっぷり乗ったボリューム満点の一皿。

「ファミレスはコスパ悪い説」に待った!値上げ後のデニーズで見つけた衝撃の“1496円坦々麺”
ジョブチューンで満場一致の合格を勝ち取った「タワーパンケーキ~国産小麦粉きたほなみ使用」
 先日のジョブチューンでは満場一致の合格を勝ち取ったほど。価格は1496円で、ごほうびとして1人で食べても良いですが、2~3人でのシェアを考えれば、高すぎるという感想にはならないと断言できるほど、見事なパンケーキなのです。


パスタメニューを見ると、ごちそう感を生み出す工夫がいっぱい

「ファミレスはコスパ悪い説」に待った!値上げ後のデニーズで見つけた衝撃の“1496円坦々麺”
パスタメニューには、ポルチーニ、イベリコベーコン、ふわふわチーズ、蟹などごちそう食材がふんだんに取り入れられている
 他にもパスタメニューを見ていくと、価格を抑えながらごちそう感を作り出す工夫を随所に発見することができます。

 例えば、「イベリコベーコンとふわふわチーズのカルボナーラ」。こだわりの食材を組み合わせたカルボナーラは、自宅で作るとなると大変で、イタリアンレストランで同じレベルを探すとなると、2000円以上になるはず。

 食料品だけでなく光熱費の高騰を実感している人であれば、心を満たしてくれるごちそう料理としては妥当な金額と思えてくるかもしれません。

病みつきになるウマさに衝撃……!冷やし担々麺が最高すぎた

「ファミレスはコスパ悪い説」に待った!値上げ後のデニーズで見つけた衝撃の“1496円坦々麺”
飯田商店店主監修「オリエンタル冷やし豆乳担々麺」1496円
 そして今回もっともお伝えしたい感動は、価格を忘れてしまうほどの衝撃を受けた、期間限定の冷やし担々麺について。

“日本一のラーメン”と称される神奈川県湯河原町にある「飯田商店」の店主が監修した「オリエンタル冷やし豆乳担々麺」は、単品が1496円、「エスニック唐揚げ 超ライム」とミニごはんまたはパオズがついたおすすめセットは2321円です。

「ファミレスはコスパ悪い説」に待った!値上げ後のデニーズで見つけた衝撃の“1496円坦々麺”
ポイントは、香り豊かな海老のフリットや揚げ白玉
 実は飯田商店との冷やし担々麺コラボは昨年からスタートし、今年はさらにバージョンアップされて登場しています。

 私は5月21日の発売当日に食べてから、しばらくは2日に1度通ってしまったほど病みつきになってしまいました。濃厚でクリーミーなのに後味がすっきりしたスープ、コシのある麺、アジアのスパイスが絶妙に香る風味、心に残る揚げ白玉……、パクチーとの相性はバツグンで、パクチー増量(165円)も用意されています。

1496円は高くない!価格を忘れて楽しめた

「ファミレスはコスパ悪い説」に待った!値上げ後のデニーズで見つけた衝撃の“1496円坦々麺”
あまりに美味しすぎて、すでに10回以上食べています
 ちなみに飯田商店のしょうゆらぁめんは1800円。実際に食べた人はこの価格に文句を言う人は少ないはずで、今回の監修メニューは単なる名前貸しではありませんから、それを考えれば、1496円で飯田商店の世界観を味わえるのはスゴイことなのです。

 あまりに完成度が高すぎて、「ここはファミレスなの?」と疑いたくなるようなプロの味。そしてこのハイレベルな一杯が全国どこでも味わえるということが、多くの人々に食の楽しさや喜びを与えてくれるにちがいありません。デニーズにしかない独特かつ圧倒的なおいしさに脱帽してしまいました。
価格忘却で楽しみたい逸品です。

 値上げが不可避な時代において、私たちには厳しい目はもちろんのこと、賢い選択や工夫こそが食の満足度を左右するのではないかと考えさせられました。さあみなさんは、どう評価しますか?

<文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ>

【スギアカツキ】
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12
編集部おすすめ