橋田壽賀子脚本の人気長寿ドラマシリーズ『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)で10歳から12年間、“加津ちゃん”こと野々下加津役を演じていた宇野なおみさん(35歳)。かつて“天才子役”と呼ばれた宇野さんは現在、フリーライターとして活動中です。


 渡鬼シリーズ終了後の歩み、そして現在にいたるまで——当時は語れなかったことも含めて、宇野さんが“今だからこそ”綴るエッセイ連載。今回は、TOEIC930点の英語力を活かし、通訳や翻訳も手掛ける宇野さんが、その語学力をどのように培ってきたのか振り返ります。(以下、宇野さんの寄稿)。

死というものがずっと身近だった

「死がずっと身近だった」国民的ドラマ天才子役が“自分の死“に...の画像はこちら >>
 冠婚葬祭において、圧倒的に「葬」に出た回数が多い人生でございます。

 皆様、ご機嫌よう、宇野なおみです。

 別に私が死神のような存在である、といった話ではなくてですね(笑)。子役時代に平均年齢の高い現場によく参加していたこと、茶道や歌舞伎といった趣味の関係で幅広い年齢層に触れる機会が多いことが主な理由です。

 コロナ禍では、亡くなったと報道される有名人が知り合いだったり、知り合いの知り合いだったり、知り合いだったりと連続したこともあり、哀しい思いをいたしました。

 あとは、周りに結婚する友人がいささか少なくて……「婚」にはあまり出ていません。おほほ、どうしてでしょう(ヒント:類友)。

 そんなわけで、私は死というものが、年齢の割にずっと身近でした。祖父が亡くなった折には、請求書の紙をチラと見て、こんなにお金がかかるの!? と慄いたものです。

 祖父にはお葬式の段取りをしてくれる伯母や母がいたけれども、配偶者及び子どもがいない場合、どうなるんだろう。


 お世話になった方で孤独死された方も何人かいたもので、その問題は20代の私の足元にひたひたと擦り寄って参りました。

「ひとりでしにたい」もとい、「ひとりでしぬかも」

「死がずっと身近だった」国民的ドラマ天才子役が“自分の死“に備えて20代から始めたこと
なぜ「スパリゾートハワイアンズ」かは、私が福島旅行が好きだからです。これは桃狩り中
 せめて、葬式費用とちょっとした手間賃くらいは用意しておかねば、死後に人様のご迷惑になる!

 今後、横浜のクルーズ船で貿易商と運命的な出会いをしたり、スパリゾートハワイアンズで隣になった人と意気投合したりで、結婚する可能性もなくは……ないけれども? 多分? 災害と同じで、常に備えは必要ですからね……。

 最近『ひとりでしにたい』というドラマが話題になりましたが、25歳前後の私は、すでに鳴海(『ひとりでしにたい』主人公)のようなことを考えておりました。

 ただでさえわんぱくマイペースな性格で、身内に迷惑をかけて生きているわたくしです。とにかく「あいつの葬式なんかあげたくねぇ」と言われない程度に嫌われぬように生き、葬式費用と遺言くらいは準備しておかねば。

 と、前向き版太宰治のごとき考えで、終身型ドル建て積み立て保険を始めました。

 リーマンショック後、記録的な円高時代に留学していた私。自分が支払える範囲かつ取れるリスクの中で、安心感を用意してくれて資産運用の意味合いが含まれるもの、として決めました。欲を言えば当時の私、米国半導体株、そう、エヌビディアなどを買っておいてほしかったナ……。

 団体信用生命保険(通称団信、ローンや借り入れに付帯する生命保険)の存在も知っていましたが、当時の私に住宅ローンを組む術はなく、何しろフリーターでして。手っ取り早かったのが保険だったのです。

保険は必要? 不必要?

 まだ若く、健康診断の結果も悪くないという方は、掛け捨てのシンプルなもので十分ではないでしょうか。

 ただ、払い始めて少し経った2018年、体調を崩したときに実感しました。女性は体のつくりの影響で、体調リスクを抱えて生きる可能性が高い。
例えば、子宮内膜症は10人に1人が発症します。10%って、消費税か! 勘弁してほしいものです。

 しかも、健康に気をつけていたとしても、遺伝による病気リスクは変わらず存在します。病気には、環境と遺伝という要因があり、なかなかどうして遺伝要素は強いようです。

 バブル世代の堅実派だった母は、保険をがっちりと掛けるタイプでした。やりすぎでは? と思っていたのですが、緊急搬送されたとき、まさに保険が命及び我が家の家計を救ってくれたので、転ばぬ先の杖を多めにしておくというのも、ひとつの選択だと思います。

どうするどうなる! 私の“葬式費用”

「死がずっと身近だった」国民的ドラマ天才子役が“自分の死“に備えて20代から始めたこと
京都にて、森光子さんのお墓参りした際見た虹
 なお、コロナ禍で、葬式運営会社のSEOライターなる仕事もしていたので(本当にあれやこれやとやっている)、葬式費用に関して、やたら知識があります。火葬のみの直葬から家族で行う家族葬、ひいては会社で行う社葬まで、相場や手順など、記事を書く際に調べ済みなんです。へんな生き物ですね。

 さて、もうすぐ満期を迎えるわたくしの保険、もとい葬式費用。皆様、お察しだと思うのですが、ドル建て……。現在はしばらくぶりの驚異的円安。つまり、私は現在支払い代金が跳ね上がっております。
絵に描いたような「為替によるリスク」にぶち当たっているのです!!(笑)

 正直ギブアップしたい思いもなくはないですが、終身保険ですし、きちんと払いきって、人生の始末をつける準備をしておこうと思います。

 これは私があまりに葬式が身近だったゆえのサバイバル・ソリューションですから、保険をかけたほうがいいですよ! とおすすめするものではありません。

渡鬼の台本を読み込んでいた子どもが考えること

「死がずっと身近だった」国民的ドラマ天才子役が“自分の死“に備えて20代から始めたこと
どこまで肩書が伸ばせるのか……?
 いやはや、10代や20代の頃はこんなことで悩む・考えるなんて思いませんでしたね。ピチレモンとか一生懸命読んでいたのに、今は母の購読するハルメクを共に愛読しております。

 けれども、こうした変化に対応しようとあれこれ七転八倒することも、これはこれで面白いと思って生きています。

 そんなふうに思えるのも、渡鬼で、あらゆる家族・人生の問題が描かれた台本を読み込んでいたからかもしれません。結果、資産運用や保険やライフプランについて勉強しすぎて、「ファイナンシャルプランナーの資格取らないの?」とよく言われます。

 勉強好きで、オタク気質だから……。せっかくだし、資格取ってもいいかもしれませんね。

 ……今でももう肩書が「ライター/エッセイスト/通訳・翻訳/YouTuber/俳優」なのに、まだ長くなるのかしらん……。

 どこまで伸ばせるのか、いっそやれるところまでやってみようかと思います(笑)。

<文/宇野なおみ>

【宇野なおみ】
ライター・エッセイスト。
TOEIC930点を活かして通訳・翻訳も手掛ける。元子役で、『渡る世間は鬼ばかり』『ホーホケキョ となりの山田くん』などに出演。趣味は漫画含む読書、茶道と歌舞伎鑑賞。よく書き、よく喋る。YouTube「なおみのーと」/Instagram(naomi_1826)/X(@Naomi_Uno)をゆるゆる運営中
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