40歳を過ぎたとたんに自覚する、体力の減少。年齢のせいだからしかたないとあきらめつつ、今朝もだるい体を引きずって職場へ。
こんな毎日が続くの?と不安になったあなたに読んでほしいのが、『疲れやすいオトナ女子を救う あなたの食習慣を変える100の提案』(星穂奈美著、ダイヤモンド社、2026年3月)です。
 著者は管理栄養士、病態栄養専門管理栄養士、心不全療養指導士の星穂奈美さん。

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疲れやすさの根本原因に、食習慣がある

〈一般的に、疲れの原因はひとつではありません〉と本書がいうように、疲れは複合的な要素でできています(〈 〉は同書からの引用、以下同)。

 積み重なるストレス、デスクワークによる運動不足、多忙さゆえの睡眠不足。目に見える不調にばかり気を取られ、私達は根本的な原因を忘れがちになっているのです。それが本書の肝である〈日々の栄養不足や不規則な食生活〉。

 では具体的にどう変えていけばいいのか、本書から今すぐできるコツをご紹介しましょう。

いつもダルいのはなぜ?  疲れやすい人を救う「食事の変え方」をプロが提案
食習慣を変える100の提案

たんぱく質は1日3回、特に朝食が大切

 たんぱく質が重要なのはみな知っているでしょうが、とはいえ、漠然と摂ればいいわけではありません。本書では、〈たんぱく質は「1日3回」。特に朝のチャージは筋肉量アップと効率的な代謝を生む(*1)〉と伝えています。

 出勤前の朝食はタイパとコスパ重視になりがちですが、
〈高齢者を対象とした研究(*2)では、夕食でまとめて摂る人よりも朝食でしっかりたんぱく質を摂る人のほうが筋力が高く、サルコペニア(加齢や疾患などに伴って筋肉量や筋力が低下する状態のこと)の予防にも効果的と言われています〉。

これを聞いたら、朝食を疎かにしてはもったいない!と思うのではないでしょうか。

〈朝のたんぱく質で、日中のパフォーマンスを上げる〉ために、1日に必要なたんぱく質の摂取量を知っておくのも大切です。本書では〈体重50kgの女性の場合→1日あたり50g~60g(1回の食事で16~20g×3回)〉を推奨。


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卵
たとえば、卵(Mサイズ)1個(50g)=6.1g、納豆1パック(50g)=8.3g、プロセスチーズ1個(20g)=4.5gのたんぱく質がそれぞれ含まれています(*3)。

 他に豆乳やヨーグルトもたんぱく質を手軽に取り入れられる食品です。朝、昼、晩とローテーションで取り入れれば、体調にもうれしい効果が得られるはずです。

やる気を出すには、朝の炭水化物

 朝食に何を選ぶかで、その日のモチベーションも決まります。炭水化物を控えることを良しとするような風潮もありますが、やみくもに避けるのはちょっと待って。

〈ご飯やパンなどの炭水化物(糖質)を摂ると、血液中のブドウ糖濃度が高まり、膵臓からインスリンという血糖値を下げるホルモンが分泌されます。このインスリンが末梢時計に直接働き(*4)、1日の活動量が始まることを伝え、体内時計をリセットする役割を果たしてくれるのです(*5)〉と本書。

 朝の炭水化物は、心身の目覚めを呼び起こしてくれるありがたい存在といえるでしょう。

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鮭のおにぎり
 ご飯やパンといった朝食をしっかり食べると、思いのほか元気になった気がする、という感覚は、誰もが味わったことがありますよね。

〈朝こそ炭水化物を。おにぎりなら、具は鮭がグッドチョイス〉。ご飯と焼き魚は、炭水化物と魚油(*6)をバランス良く摂れる理想的な組み合わせだそうです。

 パンなら、ツナチーズトーストをチョイス。
たんぱく質も摂取できて、パワー全開で1日が始められますよ。

水分はコップ1杯(150~200ml)×10回が基本

 肌の乾燥や熱中症、便秘など、水分が不足すると健康と美容に支障が出ます。体感としては知っていても、どのくらい水分を摂ればいいのかわからない人もいますよね。

 本書では〈水分補給は「コップ1杯(150~200ml)×10回」が基本〉と伝えています。意外に多い、と驚いたのかもしれません。

 水は五大栄養素には含まれないものの、水が体にもたらす効果は絶大です。〈血液をサラサラに保ち循環を良くしたり、体温を調整したり、老廃物を体外へ排出したり〉と、人間の体の約60%は水分でできているというのも納得な働きぶり。

 では実際にどのくらい水分を摂ればいいかといいますと、目安として、〈体重(kg)×28~35(ml)=1日に必要な水分量(ml)(*7)〉という計算方法があります。食べ過ぎ防止のために、食前に300ml程度の無糖炭酸水を飲んでおくのも良いそうです。

炭水化物は一度冷ますと太りにくい

 ご飯にパンにパスタ。満足感も満腹感もあって、どうしても食べ過ぎてしまう。そんな人に朗報なのが、〈ダイエット中は、炊き立てより冷やご飯〉という摂り方。
〈白米やパスタ、ジャガイモなどのでんぷんは、調理後に一度冷ますと太りにくくなる(*8)〉って、ご存知でしたか。

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ポテトサラダ
 本書いわく、炭水化物に含まれるレジスタントスターチ(難消化性でんぷん)は、小腸で消化されず大腸まで届き、穏やかな消化吸収が血糖値の急激な上昇を抑えてくれるといいます。
そして〈このレジスタントスターチの一番の特徴は「冷めると増える」こと〉。

 つまり、温かい炭水化物よりも、冷ました炭水化物のほうが血糖値の上昇がゆるやかになり、太りにくいのです。さらに〈一度冷ました後に温め直してもあまり減らない〉という性質。ダイエット中は、多少面倒でも一度冷ますのがおすすめ。少しの手間が大きな差を生むかもしれません。

日々できることから少しずつ

 1日3食、欠かせない食事。人間は食べたもので構成されていて、私達は食材や調理方法を選べる幸福に恵まれています。

 自分の不調や、目指す状態に合わせて、少しずつ食事を変えていきませんか。

<文/森美樹>

*1: Brad Jon Schoenfeld ,Alan Albert Aragon: How much protein can the body
use in a single meal for muscle-building? Implications for daily protein
distribution. J Int Soc Sports Nutrition. 2018; Feb 27:15:10.

Aoyama S, Kim HK, Hirooka R, Tanaka M, Shimoda T, Chijiki H, et al:
Distribution of dietary protein intake in daily meals influences skeletal
muscle hypertrophy via the muscle clock. Cell Rep 2021; 36: 109336.

*2:Kinoshita K, Satake S, Murotani K, Li J, Yasuoka M, Arai H:
Breakfast skipping and frailty: A crosssectional study in community-
dwellers aged 75years or over. Geriatr Gerontol Int 2023; 23: 60-62.

*3:「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(文部科学省)

*4:私たちの体には、脳にある「中枢時計」と、肝臓や筋肉などの臓器にある「末梢時計」という2つの「体内時計」が備わっている

*5: Jakubowicz D,Landau Z,Tsameret S,et al.Reduction in Glycated Hemoglobin and Daily Insulin Does Alongside Circadian Clock Upregulation in Patients With Type 2 Diabetes Consuming a Three-Meal Diet:A Randomized Clinical Trial.Diabetes Care 2019;42(12):2171-80

*6:魚油に含まれるn-3系脂肪酸は消化管から分泌される「インクレチン」というホルモンを助ける働きがあり、血糖値を下げるホルモン「インスリン」の働きをサポートする役割を持つ

*7:『認定NSTガイドブック2017 改訂第5版』日本病態栄養学会・編(南江堂)

*8:『レジスタントスターチの栄養・生理機能(海老原清)』「日本調理科学会誌 Vol. 47,No. 1,49~52」(一般社団法人日本調理科学会)2014

【森美樹】
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。
X:@morimikixxx
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