(台北 15日 中央社)「ランチかっこみながらモザイクの調整してます」と屈託なく話すのは、台湾のアダルト専門ケーブルテレビ局「パンドラ」のアラフォー美人女社長、許[王黎]元さん。日本モノがメインで、どの女優が売れ筋か、どんなエッチシーンが視聴率につながるか、毎日熱心に男性社員と議論を交わす。
社員15人のパンドラを、米の人気CATVに負けない放送局にするのが夢だ。

「中国時報」などの報道によると、許さんは大学でメディア学を、大学院で政治学を修めた才女で、以前は政府機関や地方自治体で幹部の主席秘書をつとめ、一時は政界進出も考えたという。もちろん、AVなどは目にしたこともなかった。

2年ほど前から、縁あってパンドラ開局のための許認可申請や著作権手続きなど法務を手伝うようになり、チーム一丸となって仕事を進めるうち、社長に就任することになってしまった。

男性とのAV談義には今でも気恥ずかしさを感じるというが、オーナーはすでに5000万台湾元(1.5億円)を費やしており、社長としてのプレッシャーが重くのしかかる。昨年末には大手CATV事業者の取り扱いチャンネルに加わり、今では月に150本の「商品」を厳しく査定する毎日だ。


視聴者と契約業者との信頼関係は絶対で、些細な字幕の間違いやモザイクのズレも許さない。日本のAV産業と文化についても研究を始めており、台湾のアダルト市場の調査にも余念がない。許さんによると、台湾で最も好まれているのは乱交モノ、素人出演作も根強い人気だという。日本の売れっ子女優が必ず台湾でヒットするとは限らず、作品選びにはプロフェッショナルな判断が必要だ。

「AVはよくないというのはある種の固定観念」と話す許さん。特に、日本の作品の完成度は非常に高いのに、台湾では翻訳や編集、プロモーションの仕方などが重視されておらず、放送には女性の細やかな配慮が不可欠だと指摘する。
アダルト市場における女性のパワーにも着目し、今後は視聴者を女性に限定したアダルトチャンネルを開設したいと意気込んでいる。