(台北 11日 中央社)台湾大学図書館(台北市)で10日から、日本統治時代に台湾各地を踏査した人類学者、伊能嘉矩(いのう かのり)の生涯を紹介する特別展「観風蹉タ」が開幕した。同館と伊能の故郷、岩手県の遠野市立博物館が所蔵する手書き資料や日記などが公開されるほか、地理情報システム(GIS)の応用で現在の地図に当時の伊能の足取りを重ね、台湾の今と昔を照らし合わせることができる。
(タ=あしへんに它)

伊能嘉矩(1867~1925)は、1895(明治28)年に台湾総督府雇員となり、約10年間にわたって台湾原住民の調査・研究などを行った。代表著書の「台湾文化志」(1928)は、現在も国際的に高い評価を受けている。

台湾大学図書館の唐牧群副館長によると、今年は伊能生誕150年で、かつ、1897年に台湾全島の原住民調査に着手してから120年という節目に当たる。同大は前身となる台北帝国大学時代に入手した伊能の蔵書や原住民の器物を「伊能文庫」として収蔵しているほか、10年前には伊能の手書き原稿をデジタル化し、GISと本文を結び付ける試みも行っているという。

台湾大学図書館は別途、同大と遠野市立博物館の20年にわたる学術交流を振り返る展示を館内の別会場で同時開催しており、特別展開催中は自由に参観できる。

「観風蹉タ」は2018年1月12日までの開催。


(陳至中/編集:塚越西穂)