(台北中央社)台湾原住民(先住民)にスポットを当てたテーマ展「拿麼厲害」が27日、中部・台中市で開幕した。台北市では28日に開幕記者会見が開かれ、ブヌン族出身の医師、田知学さんやアミ族出身のKolas Yotaka(グラス・ユタカ)総統府報道官らが、先住民としての苦い体験談を語った。


台北市内の病院で急患室主任として勤務する田さん。今回は同展のポスターモデルを務めた。スピーチでは学生時代、漢民族の人が多い学校に通うことになり、肌色の違いから同級生に「黒猪」(黒豚)と呼ばれたエピソードを紹介し、地元で認識していた「平等」が社会では通用しないことに気付かされたと振り返った。台北で英語であいさつされ、ハーフを装うことで初めて人から認められると考えたこともあるという。

だが、田さんの脳裏には、「自分の出身を忘れてはいけない」「苦しみを経験し、乗り越えた後に初めて、本当に必要なのは自分の身分を受け入れ、認め、肯定することだと気付くものだ」という祖父の言葉が刻み付けられていた。自分を見失うことなく医師となった田さんは、話の最後を「私はブヌン族のValis Tanapima」という一言で締めくくった。


グラス・ユタカ氏は、ファストフード店で外国人労働者に同郷と勘違いされ、それ以来同級生にからかわれ続けたと話し、先住民には皆、このような苦い思い出があると強調。短期間で問題を解決するのは難しくても、一歩一歩不平等の“天井”を打ち壊し、次世代に希望と未来をもたらそうと先住民に呼び掛けた。

同展は教育部(教育省)、文化部(文化省)、原住民族委員会の共催。台中市の国立自然科学博物館で10月18日まで。このほか、東部・台東県の国立台湾史前文化博物館(7月30日~9月20日)、南部・屏東県の原住民族文化発展センター(8月21日~10月18日)でも開催される。

(陳至中/編集:塚越西穂)