(台北中央社)台湾とパラオが今年4月から始めた観光往来再開の枠組み「トラベルバブル」を利用したツアーの参加者が減少している。これを受け、パラオ便を運航するチャイナエアライン(中華航空)が運航便数を大きく減らし、パラオのウィップス大統領が不満を表明しており、台湾の関係各方面が対策を講じる考えを示している。


外交部(外務省)によると、今年4月の第1陣以降、2300人以上が利用した。交通部(交通省)によれば、8月と9月は週2便運航され、搭乗率はいずれも7割を超えた。10月は385人が搭乗したものの、今月は3日の便を最後に20日まで全ての便が欠航したという。

今回の減便について、ウィップス大統領は19日付けの現地紙に、チャイナエアラインはパラオ市場を重視していないと不快感を表明した。

王国材(おうこくざい)交通部長(交通相)は22日、パラオの観光地の宣伝方法について旅行会社と話し合うと語った。中央感染症指揮センターも同日、関係省庁とさらなる制限緩和を検討する考えを示した。


チャイナエアラインは同日、12月は6往復を運航すると発表。旅行会社と共に引き続きパラオ観光の推進を図ると説明した。

パラオ行きツアーについて、旅行大手、ライオントラベル(雄獅旅遊)の游国珍総経理(社長)は中央社の取材に対し、ツアーは現地でワクチン接種ができることから、一時は接種目的での渡航需要があったと説明。だが、9月に台湾内の感染状況が沈静化し、10月に入ってからワクチンの到着数が増加したことや台湾内での接種率向上が参加者減少の主な原因になったと語る。

新型コロナウイルス流行前の2019年に台湾からパラオを訪れた旅行者が1万5000人にとどまっていたことにも触れ、もともとの観光市場が小さいとも指摘。旅行は自由市場だとの見方を示した。


(潘智義、鍾佑貞、余暁涵、陳婕翎、江慧珺/編集:齊藤啓介)