(台北中央社)馬英九(ばえいきゅう)前総統の事務所は8日、行政院(内閣)が2011年から続けてきた福島など日本5県産食品に対する輸入禁止措置を解除すると発表したのを受け、輸入の是非を国民投票にかけるべきだと主張した。

馬氏事務所は報道資料を通じ、食の安全問題に関して、国民の権益を第一に考えていないと蔡英文(さいえいぶん)政権を批判。
政府は必ず民意を尊重し、5県産食品の輸入を解禁する意向がある場合は、再度国民投票を行うべきだとする馬氏の2年前の発言を引用し、対応を求めた。

これに対し、与党・民進党立法院党団(議員団)の陳欧珀(ちんおうはく)書記長は9日に開かれた記者会見で、馬氏事務所の考えを尊重すると強調。だが、国民投票は2年に1度実施すると定める法律があり、昨年には成長促進剤「ラクトパミン」使用の豚肉の輸入禁止などを巡る4件の投票が行われたため、2023年まで待たなければならないと説明した。

また馬氏が所属する最大野党・国民党側は食の安全を確保する対策が取られているか立法院(国会)で審査を求める考えを示し、不備がある場合には蘇貞昌(そていしょう)行政院長(首相)の施政方針演説をボイコットすると表明している。

民進党団の鄭運鵬(ていうんほう)幹事長は、施政方針演説をしない場合、関連の政策についてどう説明すべきか国民党は考えるべきだと指摘。民主主義の政治とは立法院で皆が質疑応答と攻防をすることだとくぎを刺した。


日本5県産食品の輸入を巡っては、2018年の国民投票で2年間の禁輸継続が決まっていた。

(王揚宇/編集:齊藤啓介)