(基隆中央社)蔡英文(さいえいぶん)総統は28日、国民党政権が戦後の台湾で市民を弾圧した「2・28事件」の追悼式典に出席した。ロシアから軍事侵攻を受けているウクライナについて、国家や民主主義、自由のために闘うのを全世界が見ていると言及。
その上で台湾について、どのような挑戦に直面しても、民主主義こそが唯一の選択だと語った。

同事件から75年を迎えたこの日、北部・基隆市で式典が行われた。蔡総統は、75年前、抗争を鎮圧するため中国から派遣された軍隊が基隆に上陸したことに言及。多くの犠牲者を出した基隆の人々が、事件の真相究明を30年以上前から求めてきたことは理解できると話した。

蔡政権は、過去の権威主義的な統治の下で行われた人権侵害や、その結果の真相究明などを目指す「移行期の正義」を推し進めてきた。この日のあいさつでは、今後は執行のレベルを引き上げ、行政院(内閣)が責任を負うと説明。
移行期の正義の理念を行政の中で実践し続けていく姿勢を示した。

また、台湾の民主主義は、決して当たり前のものではないことを忘れず、団結して民主主義や自由、人権を守っていこうと呼び掛けた蔡総統。歴史に向き合い、過ちを反省できる国家は、民主主義を堅持する国家だと信じているとし、これこそが台湾の民主主義における移行期の正義を進める意義だと述べた。

(陳俊華、林克倫/編集:楊千慧)