(台北中央社)蔡英文(さいえいぶん)総統は22日、安倍晋三元首相とリモート形式で会談し、ロシアによるウクライナ侵攻について「一方的に武力で現状を変更し、民主主義国家の主権を侵害する暴挙はインド太平洋地域においては決して許されてはならない」と述べた。

会談は日本の超党派議員連盟、日華議員懇談会(日華懇)が東京都内で開いた総会後に行われた。
総統府が23日、会談の動画を公開した。総統府が発表した報道資料によれば、両氏は①災害や新型コロナウイルス対策における台日の協力②台湾の環太平洋経済連携協定(TPP)加入③ウクライナ情勢と地域情勢④自由で開かれたインド太平洋戦略の平和と安定確保―の4項目について意見を交わした。

蔡総統は日本から台湾へのコロナワクチン供与に謝意を述べ、「今後も一緒に努力をし続け、台日の友情をより大きなものに育んでいきたい」と期待を寄せた。

TPP加入に関しては、台湾が先月21日、福島など5県産食品に対する輸入規制を緩和したことに触れ、「国際基準を受け入れ、難しい貿易課題に向き合い、解決する台湾の決意を示した」と強調。その上で、台湾のTPP加入実現に向けた日本の支援を呼び掛けた。

またウクライナ情勢に関連し、日本がさまざまな国際的会合で台湾海峡の平和と安定の重要性を強調してきたことに感謝した。


安倍氏は、昨年12月に開かれた台湾のシンクタンク主催のシンポジウムで自身が「台湾有事は日本有事だ。すなわち日米同盟の有事でもある」と述べたことに言及。「地域の安定のために日本と台湾が情報を共有することも大変大切だと考えている」との見解を示した。

安倍氏は最後に、リモート会談の再開催に期待を示したほか、「もちろん台湾を訪問させていただいて、親しくお話できる機会が訪れることを念願している」と述べた。これに対して蔡総統は「台湾でおもてなしができることをとても楽しみにしている」と歓迎の意を表明した。

(温貴香、葉素萍/編集:名切千絵)