(台北中央社)台湾の企業100社余りの水産物輸出登録が中国から承認されていない問題で、行政院(内閣)農業委員会の陳吉仲(ちんきちちゅう)主任委員(閣僚)は9日、中国側が台湾に通知した規定は他国に比べて厳格だったと明らかにし、関連書類を追加で提出しても許可が下りない場合、世界貿易機関(WTO)への提訴も辞さない考えを示した。

中国は台湾からの農水産物の輸入を巡り、昨年3月以降、パイナップルやバンレイシ、レンブの輸入を相次いで停止。
今年に入ってからはハタやタチウオ、アジの輸入を停止している。

中国は昨年4月から中国向けに食品を輸出する各国企業に対し、企業登録を求めている。陳氏によれば、今年8月1日に中国の税関総署から台湾側の窓口となる衛生福利部(保健省)食品薬物管理署(食薬署)に対し、同31日までに書類を追加提出するよう通知があった。陳氏は、中国が台湾以外の他国に示した期限は来年6月末までだったとし、行政管理によって貿易上の障壁を作ることは、害虫や禁止薬物の検出を理由にしたパイナップルやハタなどの輸入停止とは状況が異なると強調した。

台湾で対中政策を担当する大陸委員会によると、台湾企業は178件の書類を追加で提出したが、中国側からは現時点で審査結果についていかなる決定や声明も出されていない。農業委員会によれば、登録が認められたのは1社のみで、その他の100社余りは許可が下りていないという。


中国による企業登録の未許可で主に影響を受けているのはイカやサンマ、ミナミコノシロ、カツオ。陳氏によれば、最も大きな影響が出ているのはイカで、損害は30数億台湾元に上る。同委員会の貿易統計によれば、昨年の中国向けのイカの輸出額は約36億8600万元(約164億4000万円)だった。昨年の水産物の中国向け輸出総額は約83億元(約370億円)で、今年禁輸されたハタは約15億3000万元(約68億円)を占める。

陳氏は問題解決に向け、まずは食薬署に対して中国側への問い合わせを求めると説明。同時にイカやサンマについては輸出を、ミナミコノシロについては内需拡大をそれぞれ強化していく方針を示した。


(楊淑閔/編集:名切千絵)