(台北中央社)中国の税関総署が企業登録の不備を理由に台湾産の水産物や酒類などの輸入を停止したのを巡り、衛生福利部(保健省)は11日、輸入停止件数が10日現在で2409件に増加したと明らかにした。行政院(内閣)農業委員会や経済部(経済省)は、影響を受けた企業に対し、他国への輸出を促すなどの支援を行うとしている。


中国は今年に入り、中国向けに食品を輸出する全世界の企業に対して税関総署への企業登録を求めている。衛生福利部食品薬物管理署(食薬署)の呉秀梅(ごしゅうばい)署長によれば、台湾企業の登録状況は8日時点では有効な登録件数が1006件、輸入停止件数が2195件だったものの、10日には有効登録件数が792件に減った。輸入停止になった2409件のうち1800件余りについては、中国が求める追加書類の提出を行わない方針を企業側が示している。

輸入が停止されたのは主に、イカやサンマなどの水産物や、ビールやコーリャン(高粱)酒などの酒類、あめやクッキーなどの菓子類。

農業委員会は11日の記者会見で、中国向けに輸出する魚類の多くが缶詰加工に使用されるとし、企業に東南アジアの加工工場での処理を促す方針を示した。経済部は同日、加工食品業者を対象に、海外市場の開拓や電子商取引(EC)を活用した販売促進などを支援していくと説明した。


王美花(おうびか)経済部長(経済相)は12日、中国の登録制度は台湾に対してとりわけ差別的な扱いをしていると指摘。世界各国が世界貿易機関(WTO)において中国の制度への不満を表明している他、台湾に求めた追加書類の提出期限が他国よりも1年早かったことに触れた上で、今回の輸入停止措置も非常に急だったと批判した。

農業委員会の説明によれば、中国の税関総署から台湾側の窓口となる食薬署に対して書類の追加提出を求める通知があったのは今年8月1日。提出期限は同31日までとされた。だが中国が台湾以外の他国に示した期限は来年6月末までだったという。

(陳婕翎、沈佩瑤、張雄風、鄭鴻達、范正祥/編集:名切千絵)