(台北中央社)台湾で養殖されているハマグリ属の貝が、これまでは日本在来種だと思われていたが、行政院(内閣)農業委員会水産試験所のDNA鑑定により、台湾在来種の新種だと判明した。学名を「メレトリクス・タイワニカ」(台湾文蛤)と命名し、3月末、学術誌に論文が掲載された。


同試験所が10日までに明らかにした。

試験所によれば、台湾に生息するハマグリ類として記載されていたハマグリ(学名Meretrix lusoria)やシナハマグリ(Meretrix petechialis)、タイワンハマグリ(Meretrix meretrix)は実は全てメレトリクス・タイワニカであり、誤って鑑定されていたという。

試験所の葉信明副所長は10日、中央社の取材に対し、日本統治時代に日本人がかつて台湾北部の淡水河に日本在来種のハマグリを放流し、成長を待ってから採取したのが台湾のハマグリ類養殖業の始まりになったと紹介。後に台湾人が養殖池での生産技術を独自に開発し、大量のハマグリ類が養殖されるようになった。昨年の生産量は約5万3000トンに上る。

これまでは、台湾で養殖されている品種は日本から持ち込まれたハマグリの子孫だと思われていた。
だが近年、淡水河で採取される野生のハマグリ類の数量が減少していることから、淡水区漁会(漁協)が試験所にハマグリ類の再生を依頼。稚貝の放流前に試験所の研究員がDNA鑑定を実施したところ、淡水河河口のハマグリ類と台湾でよく見られる養殖のハマグリ類のDNA配列がいずれもMeretrix lusoriaとは異なっていることが分かった。

淡水河で採取したサンプルを調べた結果、Meretrix lusoriaの形跡は一向に見つからなかったという。試験所は、日本統治時代に放流されたハマグリは環境に適応できず、生き残れなかったと推測している。

また、メレトリクス・タイワニカは主に台湾と中国大陸南部の沿海に分布しているのが確認されたという。

(曽以寧/編集:名切千絵)