(台北中央社)来年1月の総統選への出馬を表明している野党・民衆党主席(党首)で前台北市長の柯文哲(かぶんてつ)氏がNHKのインタビューで、台湾が領有権を主張する釣魚台列島(日本名:尖閣諸島)に関し、「台湾の人たちはこの土地が欲しいというわけではなく、そこで漁業ができればいいだけ」と発言したことに対し、与野党から反発の声が上がっている。柯氏の事務所は8日、「国家の主権を守ることを堅持する」との立場を強調した。


NHKの報道によれば、柯氏は7日、NHKのインタビューに応じ、釣魚台列島について「一般に台湾の人たちはこの土地が欲しいというわけではなく、そこで漁業ができればいいだけで、それなら日本と意見の一致をみられるはずだ。争いのない部分を先に解決し、争いのある部分はあとで処理する」と述べた。また、周辺海域で台湾の漁船が今よりも操業しやすくなるよう、日本に一層の対応を求めたという。

与党・民進党の林静儀立法委員(国会議員)は8日の同党立法院党団(国会議員団)記者会見で、柯氏は主権を気にしておらず、主権の問題を軽視していると指摘。総統選に出馬する人が国際儀礼や国際関係、政治の役割さえも知らないとしたら、どうして総統になり得ようかと非難した。

野党・国民党の立法院党団総召(院内総務)を務める曽銘宗立法委員らも同日、立法院で記者会見を開いた。
曽氏は、柯氏は訪日前に勉強をしっかりとしていないと批判。台湾と日本が2013年に台日漁業取り決めを締結したことに触れ、同取り決めの適用水域以外で台日双方の主張が重なる排他的経済水域については問題を棚上げしており、双方の漁業者が操業可能だとした上で、柯氏は国際常識が著しく欠けているとなじった。

柯氏の事務所の広報を担当する陳智菡氏はフェイスブックで、柯氏は「総統選候補者として、国家の主権を守ることを堅持する」とし、「ただ、現実的な観点から出発し、台湾の漁業者の生計におけるニーズを考慮する必要がある。それとともに日本の主要メディアに登場する機会をつかみ、台湾の漁業者のために声を上げた」と発言の意図を説明した。

(王揚宇、王承中、郭建伸/編集:名切千絵)