(台北中央社)北部・台北市に事務所を持つ日系企業などでつくる「台北市日本工商会」は6日、台北市内で蔡英文(さいえいぶん)政権に対して政策を提言する2023年の「白書」を国家発展委員会の龔明鑫(きょうめいきん)主任委員(大臣に相当)に提出した。台湾の環太平洋経済連携協定(TPP)加入に向けた高いレベルの条件を満たすためにも、福島など5県産食品の一部に対する輸入停止継続や放射性物質検査報告書の添付などについて、完全撤廃に向けて取り組むよう求めた。


白書では「日台協業の目指す姿」として経済、企業、人材の点で日本と台湾が協力して目指すべきビジョンを示し、「目指す姿の実現に向けた提言」としてインフラ、人材、制度の各方面で同工商会が必要と考える施策が記された。個別要望事項は今までの未解決内容を継続した40項目と新規案件15項目が出された。

経済面では台湾が2021年9月にTPP加入申請をした際、工商会は加入実現に向けて日本政府の積極的な支援を希望したとし、台湾に対してはインド太平洋経済枠組み(IPEF)への参加や日本や他国との経済連携協定(EPA)、自由貿易協定(FTA)の締結を進めるよう呼びかけた。

半導体サプライチェーン(供給網)については、半導体受託製造世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県に半導体工場、茨城県に研究開発センターを設立することに触れ、日台間における半導体開発と生産の役割分担や連携を望むとした。

エネルギー分野では、台湾で半導体工場などの産業用途による電力需要が旺盛などとした上で、省エネ技術の導入による総電力需要の削減余地が大きいと指摘。日台一体となった脱炭素社会の実現に向けた動きの加速に期待を寄せた。


また電力や生活・工業用水の安定供給に不安があるとし、中長期を見据えた抜本的な対応を要望した。

人材面では年度終了または労働契約終了の際に未消化の有給休暇を賃金換算して支給する「余剰年休買い取り制度」は長時間労働を助長する結果になっているとして見直しを求めた他、労働力不足が続いているとして、外国人労働者の受け入れや少子化の解消に関するさらなる取り組み強化を望むとした。

(劉千綾/編集:齊藤啓介)