(台北中央社)中国商務省が9日、台湾に対する貿易障壁調査について、期限を3カ月延長し、来年1月12日までとすると発表したのを受け、台湾の通商交渉窓口、行政院貿易交渉オフィス(経貿談判弁公室)は同日、中国が同調査を実施する背景には政治的動機があることが浮き彫りになったとし、世界貿易機関(WTO)のルールに違反しているとして中国を非難した。

中国商務省は今年4月12日、台湾が中国に対して実施している貿易制限について貿易障壁調査を同日付で開始すると発表。
10月12日までに終了予定だとしつつ、特殊な状況下では来年1月12日まで延長可能だとしていた。同部によれば、調査の対象は主に農産物や化学工業製品、繊維製品など。

台湾は来年1月13日に総統選と立法委員(国会議員)選の投開票を予定しており、延長後の期限はその前日に当たる。

同オフィスは報道資料で、台湾はWTOのルールに違反したことは一度もないと繰り返し強調してきたと言明。中国が台湾を糾弾する措置は両岸(台湾と中国)がWTOに加盟した当初からすでに存在していたものの、双方は当時、互いの貿易体制や措置について交渉を行っておらず、中国も長年来、正式な異議や交渉要求を提示していなかったと補足した。

また、WTOは加盟国が自国のみの判断でその他の加盟国が協定に違反しているかどうかを判断したり、調査を一方的に実施したりすることを禁じていると指摘。
中国側は調査手続きやアンケートの配布対象などいずれにおいても明らかにWTOのルールに違反していると批判した。

同オフィスは、台湾はこれまで、2者間の貿易上の問題はWTOの仕組みに従い、双方の協議によって解決されるべきだと繰り返し表明してきたとし、中国に対し、政治によって貿易問題を操る行為をやめるよう改めて呼びかけた。

(陳俊華/編集:名切千絵)