(サンフランシスコ中央社)11日に開幕したアジア太平洋経済協力会議(APEC)の会場となっている米サンフランシスコのモスコーニセンターや各国代表団の宿泊先ホテルの周辺では厳重な警戒態勢が敷かれている。中国の代表団が宿泊するとみられるホテルの周辺ではプラカードを掲げて習近平国家主席に抗議する人の姿があった他、台湾の記者が中国側関係者から取材を妨害される一幕もあった。


中国の代表団は規制エリア内に2軒のホテルを借りているとされる。そのうちの一つ、セントレジス・サンフランシスコではここ数日、多くの警備員が玄関で警戒に当たっており、駐車場の入り口には黒い柵が置かれ、出入りが規制されている。

ホテルの外では「China has concentration camp」(中国には集中キャンプがある)と書いたプラカードを掲げて付近を歩き回る男性や、「習近平よ、財産を返せ、家族を返せ、父親を返せ」と英語で書かれたプラカードを手にホテルに向かって抗議の声を上げる女性の姿もあった。

中央社記者が13日に同ホテルを訪れたところ、車庫が白い布で覆われているのを確認した。作業員には中国のなまりがあり、車庫内の車2台は黒い布で覆われ、ナンバープレートが確認できないようにされていた。ホテルの2階の窓にも目隠し用のフィルムが貼られ始めていた。


台湾メディアが撮影を行っていると、中国側関係者から「ホテルは撮ってもいいが、白い車庫はどこにも出てはいけない。あれは私の個人的なものだからだ」と撮影を阻止された。関係者はメディアに撮影データの削除を要求し、双方で一時口論も発生した。また、記者が身分を尋ねると、この関係者は回答を避け、「自分の姿が写されてはならない」と何度も強調した。「ホテルはわれわれが貸し切りにしている。今はわれわれの私有財産でもある。
私には撮影をしないよう求める権利がある」とも主張し、もしロビーに入れば「厄介なことになる」と繰り返していた。

(曽智怡、張欣瑜/編集:名切千絵)