同工場は「台北鉄道工場」として1930(昭和5)年に建設が開始され、1935(昭和10)年に完成、供用開始された。列車の修繕や組み立て、整備などを担った。日本による統治が終結すると、48年に「台北機廠」に改称され、一部施設が増築された。2012年、全ての工場機能が北部・桃園市の富岡車両基地に移転され、車両工場としての役割を終えた。2015年、その歴史的価値などの高さから、17ヘクタール近い敷地の全域が国定古跡に登録された。
2016年には旧工場を鉄道博物館として転換・活性化させる計画が行政院(内閣)で決定され、2019年から修復工事が順次進められていた。
第1段階として公開されるのは、ディーゼル工場、総弁公室、大浴場の他、技工養成所、材料試験所、大礼堂。常設展や三つの特別展なども開幕する。
鉄道博物館は商業エリアとして栄える市政府エリアの近くに位置する。李遠(りえん)文化部長(文化相)は、台北市の最も栄えた区域にある17ヘクタール近い土地が全て保存され、国家鉄道博物館計画が実施されたのは、文化資産の保存に対する国の決意の表れだと紹介。修復はハード面の設備にとどまらず、「さらに重要なのは、台湾の人々全体のものである文化や歴史、記憶を保存、修復することだ」とコメントした。
一部開館に伴い、南北に伸びる全長335メートルの通路も開放される。古跡建築群を間近で観賞することができる。
(王宝児/編集:名切千絵)