私が食べてたやつは偽物だった?本物のドバイチョコレートを名乗れるのは1社のみ
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 あんだよ偽物かよ!って愕然としたチョコレート好きもいるはずだ。公式からの注意喚起に気づいた人は一体どれほどいるのだろう?

 ピスタチオのグリーンが目を引くチョコ「Can’t Get Knafeh of It」をご存じだろうか?日本ではもっぱらドバイチョコレートという名で人気沸騰中の逸品だ。

 ドバイの「Fix Dessert Chocolatier(フィックス デザートショコラティエ)」から誕生したこのチョコは、TikTokの投稿1億2200万回ビューで世界が注目するトレンドスイーツに。

 ところがこのチョコ、おいしさと決して安くはないお値段もさることながら、おそろしく手に入りにくいことでも有名で、本拠地ドバイとアブダビでさえ1日たったの2回しか販売しない、まさに幻みたいなレアチョコでもある。

 そこでチャンスとばかりに出回りだしたのが、コピー商品だった。どうしても食べたいお客をはなから目当てに、似て非なる代物が各国にあふれ、はからずも偽モノを食する人が急増中だという。

ドバイ発の贅沢なチョコレートが世界で人気

  バイラルヒット商品となった「Can’t Get Knafeh of It」は、ドバイ発の贅沢なチョコレート。

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 2022年イギリス出身のイエゼン・アラニさんとサラ・ハムーダさんが開発したこのデザートは、TikTokで脚光を浴び、世界中のグルメやSNSユーザーをくぎ付けにした。

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 ところがすぐにでも食べたかった世界の多くの人々にとって、その味を確かめるのは困難だった。

 実はこのチョコの正規の流通ルートはアラブ首長国連邦ドバイおよびアブダビ限定で、1日にたった2回フードデリバリーサービス企業Deliveroo(デリバルー)を介して販売されることで、プレミアムな稀少性を演出している。

 そしてその圧倒的な人気ゆえに、各国でコピー商品が出回ることに。そこからブランドイメージや消費者の安全性に深刻な懸念が生じ始めた。

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ドバイ発の懐かしくも新しい味わいのチョコ

 フィックス デザートショコラティエ(以降FIX)は、伝統的な中東スイーツのエッセンスと西洋のモダンなセンスが融合したブランドだ。

 創業者アラニさんとハムーダさんは、10年前のドバイ移住きっかけに、2つの文化の魅力を取り入れたデザートを創るという壮大な夢を抱いた。

 そして2021年、妊娠したサラさんがその間に食べたくてたまらなくなったという懐かしくも新しい味わいを、その翌年に再現する試みを思いつき開発に着手し、ついにこのチョコが完成した。

 手作業で丁寧にデザインされた『Can’t Get Knafeh of It』は、ピスタチオの香ばしさと、伝統的なクナーファ(またはケナーフェ:Knafeh)からヒントを得た風味が特徴。

 モダンな発想と古くからのレシピが融合した、カルチャーブレンドの好例ともいえそうだ。

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中東の伝統菓子クナーファとは

 ちなみにクナーファとは、主に中東で愛されるお菓子だ。バリエーションは多様だが主に「カダイフ」と呼ばれる小麦粉と水でできた、とても細い糸状でパリパリサクサクの生地が使われている。

 特徴的なカダイフに、とろけるような羊乳のチーズにピスタチオのトッピング、甘くて芳醇なシロップが絡み、独特な味わいが生まれるという。ちなみに下はトルコのレシピだ。

 すごく濃そうだけどおいしそう!というか、チョコの前にまずこっちを食べるべきな気もしてきた。

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1枚2700円。インフルエンサーにより爆発的人気に

さて話題のチョコレート「Can’t Get Knafeh of It」は、重さ200g、サイズは約10cm x 6cm × 4cm。価格は1枚19ドル(約2700円)とのこと。

 外側はチョコレートの堅さ、内側はクナーファのクリーミーななめらかさやカリカリ食感が入り混じっており、その複雑な感覚が1番の魅力だそう。

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 実際すぐに人気になったわけだが、特にTikTokで300万人近くのフォロワーをもつユーザー、マリア・ ヴィハーラさんが2023年に投稿した動画が、驚異の1億2000万超ビューと700万のいいねを記録。

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 そこから一気にバイラルとなりトレンド化した。

各国でコピー商品が出回り健康リスクの懸念

 急激に人気が高まり過ぎたものには、得てしてそれに便乗する動きや買い占めなど、まずトラブルが起こりがちだがこのチョコも例外ではなかった。

 味はもちろん大きさからして異なるコピー商品が、すでにイギリスの大手スーパーをはじめ世界中に流通中なんだそうだ。

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 見た目重視の偽物の場合、味や食感どころじゃなく、使用する材料そのものにも懸念が生じる。子どもも食べるお菓子ということもあり、消費者にとっては健康に関わる大きなリスクになる。

 ドイツの裁判所では、この手の偽装商品の撲滅に向けた判決まで下しており、同ブランド保護の国際的な戦いが現在も続いている。

FIX公式で注意喚起や法的措置も

 こうした事態を受け、アラニ氏は「コピー品にとてもいらだっている。顧客の誤認でブランドの信頼性が大いに損なわれる」とコメント。

 さらにFIXからも注意喚起を提示することになった。

私たちはウェブサイトを持っておらず、実店舗も存在しません。ソーシャルメディアを通じた販売もしてませんし、正規代理店なども一切設けておりません。

詐欺に十分ご注意ください。オンラインで支払いをしてお金を失い、商品が届かない、または偽物を受け取るケースが頻発しております。
また、多くの店舗で、私たちの商品と見た目が全く同一のパッケージを使用した偽造品が販売されていますが、中身は偽物です。

これらの不正なアカウントや代理店をご報告いただき感謝しております。

私たちは、みなさんが詐欺に遭わないよう心より願っております。

新たな市場へ進出する際は、必ず公式かつ認証済みのページでのみ発表いたします。リクエストがあればご連絡ください

 今後FIXでは本来の品質と安全性を守るため、法的措置を行うほか、公式SNS[https://www.instagram.com/fixdessertchocolatier/]からの情報発信を続けるという。

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 プレミアムな品質と希少価値、そしてSNSの3つを駆使した強烈な拡散力により、今までにないモンスター級スイーツが生まれてしまったようだ。

 日本のスイーツファンで、確実に本物の「Can’t Get Knafeh of It」をいただくチャンスに恵まれた人は、ぜひその味をレポートしていただきたいものだ。

References: Community.designtaxi.com[https://community.designtaxi.com/topic/10883-dubai-chocolate-creators-take-aim-at-copycats-for-tainting-the-brand-image/] / Bbc.com[https://www.bbc.com/news/articles/c209ndewxy3o]

本記事は、海外で報じられた情報を基に、日本の読者に理解しやすい形で編集・解説しています。

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