
タイにある象の保護施設で心温まる光景が展開されていた。創業者であり飼育スタッフのレック・チャイラートさんを雨から守るように、2頭の象が体を寄せ合いながら取り囲んでいたのだ。
激しい雨が降り出したため、チャイラートさんがレインコートを着用しようとしていたところ、2頭の象がそばによってきて、嵐から彼女を守るように寄り添った。その様子がSNSに投稿されると、思いやりあふれる象たちの姿に、人々が心を震わせた。
激しい雷雨から人間を身を挺して守ろうとした2頭の象
タイ、チェンマイに位置する「エレファント・ネイチャー・パーク[https://www.elephantnaturepark.org/enp/visit-volunteer]」は1990年代にレック・チャイラートさんによって設立された、虐待や過酷な労働から救出された象たちが安心して暮らせる保護施設だ。
ここでは、象たちが自然な状態で暮らせるよう、観光客による乗象や芸の強要を一切行わない方針を貫いている。
ある日のこと、この施設の野外で活動していた創設者のチャイラートさんは、突然の嵐に見舞われ、急遽レインコートを着用しようとしていた。
すると、ここで暮らす2匹のアジアゾウ、「チャバ」と「トンエー」は、チャイラートさんに近づいてきて、まるで傘のようにその大きな体で囲むようにして彼女をかばいはじめたのだ。
その時の様子をチャイラートさんはこう語る。
雷雨が近づいてくると、チャバとトンエーは本能的に私に近づき、体で私を雨から守ろうとしてくれました。
私がレインコートを着たとき、チャバはそっと鼻で私の様子を確かめてから、優しく鼻でキスをしてくれました。まるで『大丈夫、心配しないで』と言ってくれているようでした
象たちの思いやりあふれる行動は、SNSに投稿されると大きな反響を呼び、何百万回もの再生数と、数千件にのぼるコメントが寄せられた。
コメント欄には、「すごくやさしい。やさしい気持ちが呼び起こされる」「感情的な瞬間だ」「言葉では表せないほど美しい」といった声が並び、多くの人が象たちの行動に心を打たれようだ。
チャイラートさんはさらにこう続けている。
象は非常に感情豊かな存在です。彼らの愛情や思いやりは、群れの中だけにとどまりません。信頼し、心を通わせた相手には、家族の一員のように接するのです。
私たち人間が本当に心を開き、象たちを、私たちと同じ命ある存在として見ることができたなら、彼らが持つやさしく誠実な美しさに気づけるでしょう
その表情の中に、無償の愛、深い共感、そして心からの思いやり、というものを私たちは見ることができます
現在、施設には100頭以上の象たちが保護されており、自由に歩き回り、泥浴びや水浴びを楽しみながらのびのびと暮らしている。
また、同施設では1日体験や1週間のボランティアプログラムも用意されており、訪問者が象の世話や環境整備に参加できる仕組みとなっている。