
野生下では生息圏が違うため、ライオンとトラが一緒にいるという光景はめったに見られないが、動物保護施設などならあり得る。
同じネコ科でありながら、生き方は全く違う両者が、仲良く寄り添う姿がSNSで話題となっている。
実際にはライオンが一方的に愛情を注ぎまくっており、トラはうざがっているのだが、牙をむく様子はない。
トラが好きすぎるライオンのスリスリ炸裂
日時場所は不明ながら、X[https://x.com/AMAZlNGNATURE/status/1921571147058929949]やreddit[https://www.reddit.com/r/NatureIsFuckingWild/comments/1kk8se2/tigers_are_solitary_animals_they_love_huge/]、Facebook[https://www.facebook.com/watch/?v=1713697486207856]に立て続けに投稿されていたのが、同じ飼育スペースにいるライオンとトラの関係だ。
トラはコンクリートの壁近くに座っているのだが、ライオンがスリスリと頭を押し付けてくる。
なんなら寝ているトラにキスまでしちゃったりなんかしている。
とにかくトラが大好きなライオンは、寄り添うことがやめられない。ありあまる愛情をすべてトラに向けているのだ。
トラはかなりうざがっているようで、距離を置こうとするが、ライオンはお構いなし。でも攻撃しないところをみると、これがライオン式の愛情表現であり、敵意はないことがわかっているかのようだ。
野生では見られないライオンとトラが寄り添う光景
ライオンは大型ネコ科で唯一、プライド(家族単位の群れ)を形成する社会的動物である。
一方のトラは基本的に単独行動で広大なテリトリー(縄張り)を巡回する孤高のハンターだ。生まれつきの行動様式が正反対だからこそ、自然界で両者が寄り添う姿はまず見られない。
そもそも両者の生息圏は異なっている、例え同じ地域にいても、棲み分けがなされている。
ライオンが体をスリスリとトラに押し付ける行為は、ネコ科動物の親和行動「ソーシャル・グルーミング(互いの毛づくろいで絆を深める行動)」そのもので、群れ内の結束を強める役割を担うことが行動学研究で確かめられている。
だが同じネコ科とは言え、トラにこのような行動を示すのは驚きだ。
この動画のようにライオンがトラに愛情を示し、仲間のように寄り添う姿を見せるあたり、2匹はきっと幼少期から一緒に暮らしてきたからなのかもしれない。
発達段階の早い時期に特定個体と生活を共にすると、その相手を仲間とみなす。その結果、ライオンは本能的に行う頭擦りやグルーミングをトラに行っているのだ。
野生下でも個体の相性が合えば、異種間でも長期的な友情が成立する例は報告されている。だがトラとライオンといった、捕食頂点に立つ大型ネコ科同士の場合、飼育下という特殊な環境においてがほとんどだ。
それゆえ、ライオンがもつ社交性とトラの“気まぐれ社交”には温度差があり、ちょっとしたことがきっかけでその関係が一瞬で崩れる可能性もある。
飼育スタッフは常にストレスの兆候がないかを監視する必要があるだろう。