ひらめいた!猫餌自動販売機の近くで「ニャ~」と鳴いて猫偽装するカモメ(トルコ)
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 ご存じの通りトルコは人間と動物の共存社会を目指している。そのため、野良猫や野良犬という概念はなく、飼い主がいなくても、地域動物として共同で自治体や住民たちがお世話をしている。

 そうした事情から、地域動物用の餌の自動販売機が数多く設置されているのだが、その恩恵にあやかろうとしたカモメはある特技をもっている。

 猫の鳴き声をまねて泣くことができるのだ。ニャ~ニャ~と鳴いて、そこに猫がいるように見せかけて、餌をもらおうとするのだ。

猫用自動販売機の前でニャ~と鳴くカモメ

 トルコ、イスタンブールに設置されている猫用の自動販売機は、コインを入れるとカリカリが下の受け皿に出てくる。地域猫たちに餌をあげるためのものだ。

 おなかをすかせた地域動物たちに誰でも餌を与えられるやさしい取り組みだが、外にいるのは猫と犬だけではない。

 猫が「ニャ~ニャ~」と鳴いておねだりすれば、人間が箱から餌を出してくれることを知ったカモメはひらめいた。

 ならば「にゃ~」と鳴けばいいのだと。

 通常カモメは「カウカウ」といった鳴き声を出すのだが、何羽かのカモメは「ニャ~」をついに習得。自動販売機の前で猫を装い鳴き始めたのだ。

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ニャ~となくカモメに目撃者はびっくり

  観光でイスタンブールを訪れていたアンドレイ・ボグスラフスキーさんはホテルへ戻る途中、公園の近くで猫餌自動販売機の一つを見つけた。

 微笑ましく思って通り過ぎようとしたら、「ニャー」という鳴き声が聞こえてきたという。そこで振り返ってみたところ、猫はどこにもいない。

 なんと「ニャー」と鳴いていたのはそこにいたカモメだったのだ。

 びっくりしてすぐにスマホでその様子を撮影したという。以下がその音声付きの映像である。要音声で聞いてみて欲しい。

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 これはかなり上手。ちょっと低い声で、ニャ~というよりもミャゥ~といった感じで鳴いている。

 「おいニンゲン聞いているか?ニャーって鳴いてるんだからこの箱から餌を出してくれ」といった感じだ。

 やはり鳥ってかなりの知能を持っていることを、そろそろ人間も認めなければならないようだ。

 まあカモメも地域動物ではあるわけだし、無理やり手に持った食べ物を奪われるよりは、猫の餌を食べてくれた方が人間にとっても平和かもしれないね。

イスタンブールの街中でよく見かけるキアシセグロカモメ

 猫の鳴き声をするのならウミネコなのでは?という意見をいただいたので、改めて調べてみたところ、「キアシセグロカモメ[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%82%A2%E3%82%B7%E3%82%BB%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%82%AB%E3%83%A2%E3%83%A1]」の可能性が最も高いという。

 「ウミネコ」はロシア南東部、中国大陸東部、台湾、日本、朝鮮半島に生息し、トルコではめったに見られないという。

 キアシセグロカモメは、イスタンブールの街中でもっとも多く存在し、街中や港に一年中いるという。

 キアシセグロカモメは、日本で港にいるウミネコに「雰囲気」がよく似ているんだが鳴き声は違う。

 ちなみにキアシセグロカモメのオリジナルの鳴き声はこんな感じだ。

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動物福祉が充実したトルコ

 多くのイスラム教徒が住むトルコでは、動物への思いやりが大切な徳目とされており、「動物に優しい人は神の慈悲を受ける」といった教えが広まっている。

 オスマン帝国時代にはすでに、動物のための基金や保護施設が存在しており、その精神が現代にも引き継がれているそうだ。

 ちなみに今回の自動販売機は猫餌用だが、もちろん犬用のものもあるし、お金の代わりに、リサイクルするためのペットボトルを入れることで餌が出てくるマシーンもある。

 こういった動物福祉は行政と市民の協力のもとで成り立っている。

 自治体は飼い主のいない外で暮らす猫や犬に無料の避妊・去勢手術を施し、健康管理のためのタグを装着して識別している。

 また、けがや病気の動物には専用の救急車が出動し、公営の動物病院で治療を受けられる。

 市民も積極的に支援し、日常的にエサや水を提供しながら共に暮らしている。このようにトルコでは、人と動物が街の一員として共生する文化が根付いているのだ。だからきっとカモメが猫化しても問題はないはず?

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